感想 山東ユカ 『ロボ娘のアーキテクチャ』4巻


山東ユカ ロボ娘のアーキテクチャ (4)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「クォーク、販売の時……!」。ということで、帯にネタバレ的に書かれている、クォークの一般販売が、今始まる! というのがあっさりと販売されましたで済んでしまう、ある意味そうきたか……なのが『ロボ娘アーキテクチャ』4巻最終巻なのです。
 最終巻な訳ですが、道中はいつも通りの、いち姉となゆたさんとクォークのとんちんかん会話劇なんですが、、しかしここで地味になんですが、クォークの対話能力が向上しているように見受けられるのです。元々こちらが言ったことに反応するアルゴリズムで会話しているように見える、だったのが、なんとなくちゃんと会話になっているようになってきているのです。この辺、3巻ではときどき鋭いツッコミを入れてくるのがあって気付かされた部分なんですが、4巻ではそれが気付きにならないくらいにナチュラルに会話しているように見える。という段階に到達します。そして、この展開は最終回手前の、クォークの台詞で確信に変わる訳ですよ。うわあ! 目覚めた! っていう感じに。この辺の微妙な台詞回しは大変だったろうなあ。読むだけならスムーズに読めるからあまり気にしない部分の整合性を考えるの。通じてる訳ではない会話から、通じている会話へのスイッチですよ。結構無茶なことやってないか? と思うので、山東ユカてんてーはユークリッド幾何学的に凄いですね。←訳の分からない賛辞
 しかし、その辺は大変な出来栄えなんですが、それでも基本はクォークのいる生活。その部分が、なゆたさんの進学という部分と合わさって色を変えるのもこの巻の特徴として挙げられるでしょう。色を変え過ぎていち姉が普通に出社する日がくるという今まで読んでいた人には「なっ!?」ってなる現象も巻き起こりますが。というか、この漫画読んでていち姉の待遇はいいなあ、と思っていましたが、どうも使っていた待遇が産婦人科寄りのあれだった模様で、そりゃ長くは続けられないわな。と。むしろ今までやってこれたのが不思議と言うか。しかし、いち姉はどうにも優秀なので、わりとあっさりクォークのダウンサイジング、普及版を作れたみたいで、本当に優秀な人って手がつけられないなあ。と遠い目をしてしまいました。そこまであっさり作れるならさっさと、とも思いましたが、クォークの日々の積み重ねが奏功したのだ。と思うことにします。なくても何とかなったんじゃねえか、いち姉だし。
 さておき。
 最終巻なのでちょっと描き下ろしもあります。それが奥泉さんとレプトンのお話も。地味にレプトンも量産化成功してて、でも内容がレプトンなので黙っているタイプを作ったら当たった。という会社の人マジ良く分かってるな案件だったり。でも奥泉さんはレプトンのママのレプトンが、とか寝言言ってて、ああこの人……。って遠い目に。でも、最後にちょっと報われてるので、うん、それで手を打とう。という気持ちで締め括れました。というか、進化するもんだなあ。
 ということで総評めいた事を書くと、基本的に話が合わないタイプの人、いち姉とかクォークとかが話を合わせようとしない感じをなんとかするのが大変好きだったのですが、でも後半のなんとかではなく普通に会話繋がっている感じに気付いた時の驚きも好きなので、大変味わい深い漫画であったな、というのが、個人的な総評です。また、話が合わない系漫画、描いてください。
 とかなんとか。