「暁に斬る!」が変。

 最初の頃の話で、主人公(北大路欣也)が街中を歩いていく場面があったんですが、それがもう。
 誰もいない町。
 吹きすさぶ風。
 飛び散る木の葉。
 巻き起こる砂埃。
 ……。
 日本はそんなに乾燥してません。
 やっぱり、ウェスタンがしたかったのか。
 まあ、それはいいんですよ。 それ以上に問題なのが殺陣の時の曲で、前にもウェスタンだとか書きましたが、これが何べん聞いても「the red shooting star」(元ネタ分かる人いるかしらん?)に聞こえて仕方が無い。
 凄いかっこいいんだけど、その曲はやっぱり時代劇じゃねえ、と痛感しました。

 感想荒山徹『十兵衛両断』

十兵衛両断 (新潮文庫)

十兵衛両断 (新潮文庫)

 隆慶一郎山田風太郎。この2大スターを引き合いに出される小説家、というそれどう考えてもクリ―チャーじゃねえのか的存在、荒山徹先生の短編集。
 荒山先生とはこれがはじめての出会いですが、この人いっつもこんな小説書いてたら、そりゃ良い意味でも悪い意味でも有名になるよな、と思わせるダイナミズム、というかダイナマイトイズム全開の作品ばかりでした。 いやもう、本当に無茶というかなんというか。
 なんと言っても、荒山先生が「隆先生のすごいチルドレン」という点がたまりません。 隆先生の基本手法「歴史の藪をつついて大蛇」、「俺の言ってる事が史実」、「実は生きていた」、「知られてないけどこいつは凄い」を完全にマスターしているのがすごい。 特に「歴史の藪をつついて大蛇」と「知られてないけどこいつは凄い」。 これによって、あっちで新陰流対新陰流、こっちで新陰流対新陰流という阿鼻叫喚の柳生地獄を演出してくる手腕には本当に脱毛です。 朝鮮の歴史に勝手に柳生を絡ませるな。
 そして、山風先生畢生の手法「忍法って言ったら忍法」の変形、「妖術って言ったら妖術」もまた、素晴らしい。 説明になってない説明とか、凄い事を平気の平左でやってしまう所とか、完全に山風作品を血潮にしているタイプの人間だと思いました。
 話を聞いた限り―つまり「隆&山風」という風聞―では、脳内に出てくるイメージが「人外ロリ」にしかならなかったのでおうじょうしましたよ。 読んでみたら予想の斜め上70度位の違いがありましたけれど。
 実際は「4人いる許婚の内の5人目のツンデレモノクル虎眼流ロリ」位の感じでした。
 さておき。 内容について、ぼそぼそいってみましょう。

「十兵衛両断」

  • 妖術ノッカラノウム
    • より、それ以後の事態の方が奇怪という驚愕の事実。
      • しかも理由不明。 かなり性質が悪い。
  • 「日本剣道の起源が朝鮮半島にあったかの如き妄言を弄する輩が」
    • 「弄する」の後に「無知蒙昧の」を入れたかったけど、あえて外した感じが。
  • 突然、「此処で断っておく」と前置きしての、この話のネタ元披露。
    • でも荒山先生。 そのネタ元胡散臭くないですか?*1
      • それ以前に「柳生十兵衛化の深まり」ってなんだ。
        • そもそも、十兵衛を分離したのは荒山先生なんでは。
  • 最後の対決場面はムヤミやたらに妙に美しい。
    • でも、やっぱり理論不明。

「柳生外道剣」

  • パシられる柳生一族。
    • しかも用件がかなり最悪。
  • 超強い石舟斉。
    • というより、他の柳生軍団が紙くずの様にもろい。 ましなのは宗矩だけなのか。
  • 宗矩が黒属性。 冷徹に天下の剣を狙ってる。
    • 名台詞「今さらの剣聖面、お止めなされませい」。
      • 実の親に言う言葉じゃねえな。
    • やっぱり荒山先生は隆慶チルドレンだな、と訳も無く納得。
  • 荒山世界の強さって無茶だなあ。
    • “無刀取りカウンター峰打ち”って有りなのか。
      • どんだけ強いんだ、それは。

陰陽師・坂崎出羽守」

  • この本で、一番変な話。
    • いきなりホラーの話から入るし。
    • 解説で「何人もの宗矩」という素敵単語が出てくるし。
  • やっぱり紙くずの様にもろい柳生一族。
    • 特に裏柳生衆。 何しに出てきた。
  • 「――前方に○○。 ――後方に○○。」
    • 一瞬、脳内に「前方に憤怒の虎眼」が映って笑う。
  • 宗矩はやっぱり超冷徹。 でも今回はあんまり役に立ってない。
  • 柳生友景登場
    • 新陰流&妖術(陰陽道)というのは、荒山先生にはたまらないんだろうなあ。
  • この話、事後処理はどうなったんだろう?
    • ここが一番謎。 消して回ったのかしらん?

「太閤呪殺陣」

  • 「和平!」のタイミングが絶妙。
  • 荒山世界の人はすぐに妖術に頼るよなあ。
    • 隆慶世界の人間がすぐに暗殺に走るのに似てる。
  • また出た友景。
    • 妖術的に困ったら友景。
    • この時のステータスは「柳生新陰流:A・妖術(陰陽道):B」位か。 若いし。
  • 隆先生世界で絶強かった人が…。
    • 見事にすぎるかませ犬退場。 何しにきた。
  • やっぱり鬼強い石舟斉。
    • 荒山先生、石舟斉が好きなのか?

「剣法正宗遡源」

  • 序文が『伝説の捏造』と言う本から。
    • 分かりやすいが、あんまりすぎる。
  • 上の「十兵衛両断」にあった「弄する輩」が登場。
    • 宗冬が「使者じゃなきゃブッタギル」とかいってブチ切れ。
      • その上で、別の人にその根拠を叩かせる。
        • 荒山先生、やっぱり「無知蒙昧の」を付けたかったな。
  • だから、妖術に頼るなって。
    • しかし妖術師が多い国だな、荒山朝鮮って。

これ位か。
とりあえず、今月に出るらしい、友景主役の短編集は買いたい所。 まあ、財布と相談しながら。

*1:実は黄算哲ググると…、なんですが

 今日の買い物

新刊が異様に出ててびびる。 欲しい物ばっかじゃん! 買いまくって、ズタズタにすっきり。 今日確認するまでずっと「ギッタギタにスッキリしたぜ!」だと思っていた俺を許して神さまぁぁぁっぁぁぁっっ!「落ち着け」
というか、榊一郎先生、両極の二作書いて神経大丈夫でしたか、とか。 本田透さんがバカライトノベル「アストロ!乙女塾!*1と真面目評論「萌える男*2を同時に書いてたら頭がおかしくなりそうだったって聞いたし。 大丈夫かなぁ。 絶対ワーカーホリックだよなぁ。

  • 荒木飛呂彦
    • 「スティール・ボール・ラン 5」
    • 「スティール・ボール・ラン 6」
    • 「スティール・ボール・ラン 7」
      • たまってたのを一気に買った。 ゆっくり読むとします。
  • 雨木シュウスケ鋼殻のレギオス
    • 約束(一方的)の通り、新刊買いました! 
      • 元から他のヤツも新刊で買っとけという気もする。
    • へっぽこガイドブックでてるぅぅくぅぅぅ!
  • 本田透アストロ!乙女塾! 僕は生徒会長に恋する」
    • 二巻目。 あ、一巻目の感想かいて無いなぁ。
    • 今回の解説の一発目が「シダ植物」っておい。
  • 田口仙年堂吉永さん家のガーゴイル 9」
    • 初の上下巻構成。
    • そして口絵では「怪盗白式危機一髪」が前後編構成。
      • 梨々、デフォルトでそれ仕込んでんのかよ。
        • 夏とか、どうするんだろう。
    • ちらっと後ろを見たら大変な事になっていた。
      • 「あーちゅくしょう楽しそうだな・・・(実話)」
        • つーか、M女史ィィィィィ!! これ、ちょ、まじか!
    • アニメの広告。
      • テンプルナイツからベイベー、ツァッコーール!までいる。
        • それ以上に大量のモブ。
          • つまり御色町の人全員と解釈いいのか。
            • つーか再びM女史ィィィィィ!!
    • 本邦初の横に閉じる広告というのもまた。
      • いつもの折り方を縦横逆にしただけですが。
  • 六塚光「タマラセ 幼馴染はドラゴンを喚ぶ」
    • 最終巻。 口絵だけで凄い熱い。
      • しかし、一番目を引くのは、表紙のえらい嬉しそうな夏月。
    • マキゾエは「やりたい物やったもん勝ち」してんなぁ。

今日の元ネタ 電撃4コマvol'21 p93より。(H・製作所「4人いるっ!?」)

  • 4コマの題名。
    • 自分でしといて自分で言うなよ。
  • 関係ないですが、「H・製作所」さんって何時の間にか電撃PSどの生き字引の一人になっちゃってますね、そういえば。
    • 自分=リリス、姉=モリガン、バイト先の店長=ジェダ、ってやつやってたの何年前だよ。