らくえんSS 「いつもの職場」

ムーナスについてすぐにカントクがよってきた。
カントク「妹の件だが」
僕「はぁ?」
妹? 杏の事? そういえばなにか前にそういう話が・・・。
僕「この間の「妹が欲しい」ってやつですか?」
カントク「うむ。 で、考えてみてはくれたかね?」
僕「考えてみるも何も、あの時で終わりの一発ネタでしょ?」
カントク「ネタじゃない。 わしは本気だ!」
僕「・・・・・・すいません、理由が分かりません」
カントク「理由か」
キラーンとカントクの目が獲物を狙うワシのように鋭くなった。 ただのやぶにらみだった。
カントク「実は近々、わしの親がやってくるのだ」
僕「はあ」
カントク「その親に対して、普通は嫁とか彼女でも見せればいいんだが、わしはあいにくとそういうのに縁が無い。 でだな、その代わりと言っては何だが親に妹をお披露目するのだ。 こんな駄目な俺だけど、実は妹が出来たんだよ! というわけだ。 どうだ、びっくりするだろう?」
僕「僕が親なら、違う意味でビックリですけど」
カントク「感動の余り涙がでてきたりしてな」
僕「僕が親なら、違う意味で涙が出てきますけど」
カントク「まあ嘘はさておきだな」
僕「嘘なんですか」
カントク「やっぱり、妹は欲しいな」
僕「・・・」
カントク「せっかく妹キャラがいるんだ。 一回ぐらいはしてみたいだろう、妹体験」
僕「どういう体験ですか、それ」
カントク「「お兄ちゃん♪」って言ってもらうとか」
僕「はあ」
カントク「「お兄ちゃん、はいお弁当」とか「今、コーヒー入れるね」とか」
僕「あのー、それって嬉しいんですか?」
カントク「嬉しいに決まってんだろうが! これだから実妹持ちは! わしこれをどれほど求めていたか! 一度でいいから「お兄ちゃん♪」って呼ばれたいんだよ〜〜〜〜(泣)」
僕「そんなことで泣かないでくださいよ、うっとおしい」
マーキー「う・・・ううぅううぅ(泣)」
いきなり泣き声がしたので振り向いてみると、そこにはマーキーさんがいた。 さめざめと泣いていた。
僕「なにやってんですかマーキーさん。 っていうかいつの間に後ろに」
マーキー「失敬。 余りの事に、ついもらい泣きを」
僕「はぁ」
カントク「おお! 分かるかマーキー!」
マーキー「当たり前です。 妹キャラから「お兄ちゃん♪」なんてチャンスは、どう考えても後にも先にもここでしかありえません。 今しかないのです。 今、今! 今ここで言ってもらえなければ一生悔やんでも悔やみきれません!」
カントク「そうとも! ここが我らの正念場だ!」
マーキー「いざゆかん! 妹の道!」
男二匹が萌えていた。 いや、燃えていた。
可憐「やかましっ!」
スパン! スパン!
鎮火した。
可憐「おめーらそこでくっちゃべってないでとっとと仕事しろ仕事! ちょい、マーキー! ここ、オートプレイにすると止まるんだけど」
マーキー「ははは。 そこはそういう仕様です」
可憐「だまれとっとと直せ! カントク、本社から催促の電話。 昼にまたかけるって」
カントク「はっはっは。 そろそろ草野球の時間かな?」
可憐「電話してからにしろ!」
僕「ははは、皆怠け者だなー」
可憐「おめーもとっとと立ち絵の続き!」
僕「はい・・・」