小旅行というのもおこがましいようなお出かけをする。言った先は高松。往復三千円もしないので、行こうと思えば楽々といける。何しに行ったかといえばもちろん、うどん喰い行と相成る。
だが初手から失敗であった。レンタサイクルがある、というのを見て「サイクリングサイクリングヤッホーヤッホー」と洒落込もうと目論んでいたのだけれど、身分しょうがないと使えないことが係りの人に聞いて発覚。この諦念……。
しかたないので徒歩にてもうでけるなり。が、これもいけなかった。なにやら曇りという予報が嘘のように晴れ、暑い。朝の早い時間でこの暑さは無いだろうという位に暑い。しかも行こうとしていた所が土地勘的には大丈夫とはいえ結構距離がある。なのでひぃひぃふらふらになりながら目的地まで。
次の失敗は時間帯。讃岐うどんの、特に小規模店において顕著な例として、朝や昼のいそがしい時間帯の後になればなるほど、その時間に使いきれなかった、予めゆでてしまったうどんが出てくる、というのがある。これが曲者。うどんの足、というか腰はなま物以上になま物で、ゆでて時間が経てば経つほどゆるゆるになってしまう。これを忘れていた。行ったのが昼と朝の狭間という、めためたの腰になったものを引いてしまう可能性の限りなく高い時間帯だったのだ。更に悪い事にかなりちんまりした店を選んでしまっていた。これではめめたぁな腰を味わうのは理の当然である。
次は失敗、というより失意だった。街並みが昔より色々と変化しているだろう、とは思ってそれを楽しみにしていったのだけれども、昵懇にしていたゲームセンターが潰れていたのだ。しかも、閉まったのが丁度先月末。もう少し早く来ていてば、供養の一つも出来たのに……。
と、色々失敗続きだったが、久しぶりに訪れる街、というのはそれはそれで趣きがある。下のままのものもあれば、変わってしまったものもある。それを確認して回るのは、縄張りを確認する犬みたいな感覚だ。これはこれで楽しい。宮脇書店本店の元旧館が昔のごちゃとした感じからやたらすっきりしていたのが一番印象的だった。平台を排除したのと、雑誌を分けたのが原因だろう。前は狭くて狭くて仕方なかったから、いい変更だ。…そこが一番、という辺りが本屋好きの業かしらん、とふと思う。
そんな一日。