感想 木々津克久 『名探偵マーニー』1巻

名探偵マーニー 1 (少年チャンピオン・コミックス)

名探偵マーニー 1 (少年チャンピオン・コミックス)

 大体の内容。「JK名探偵マーニーにおまかせを」。木々津せんせと言えば『フランケン・ふらん』でのグロ映像を思い出す方も多いかと思いますが、この漫画は週刊少年チャンピオン連載作。所謂、秋田の赤い核実験場である所のチャンピオンRED誌とは、当然ドレスコードが違うので、分かりやすいチャームポイントであったグロはこの漫画では全く存在しない、と思っていただこうッ! なもんで、元の絵の地味さ加減がその不在に加わって、ぱっと見が大変地味な漫画のような呈を為しております。ですが、木々津せんせの異形はそんな程度の物ではござりませぬ。映像的グロが無いだけなのですよ? 木々津せんせというと精神的グロもあるのをお忘れですか!
 精神的グロとは? 今ココで突如定義するならば、映像的にグロい解体や達磨や内蔵チラや内臓モロなどとは違い、全くそういう要素は無いけど、むしろ後々考えてこれは…とか、精神的にエグくなる物の事とします。木々津せんせのグロテクはそちら方面も極めて強い事は、『フランケン・ふらん』でも度々見えていましたが、明確なグロが分かりやすいせいで意外と隠れがちだったように思います。
 しかし、この『名探偵マーニー』では映像的グロが禁止されているので、そっち方面が見えやすくなっており、横溢しています。一話目のプチ誘拐の犯人の動機からして、大変分かりやすいし気持ちも分かるけど、それがゆえに精神的にグロいという困った事態です。勿論、いい話もあります。7話目の父を突如感じる。どうして? という話の結末は大変いい話です。しかし、そこに至るその父の職業病の話は十分にエグい。だから、最後のコマの良さが溢れるし、いい話になるんですが、でもやっぱり精神的グロ前提なのかよ! と思ったりもします。色々と話があって、それぞれグロさはあるけどグロさの深度が違うのも、この漫画の特徴と言えて、そういう意味では木々津せんせの真骨頂とはこの辺りにあるのだな、という理解をしていた方が、読みやすくなるとは思います。『フランケン・ふらん』に比べると、そういう面では読みやすいというのも。
 さておき。
 色々と探偵漫画はありますが、この漫画が珍しいのは基本的に探偵役の一人だけがメイン、サブキャラが色々補正しない、という辺り。大体の推理漫画では探偵役に補正役、ホームズ役に対するワトスン役がいたりするものですが、この漫画はたまに父がキーになったりするものの、ほとんどの場合はマーニー一人で解決して行きます。だもんで、単なる女子高生なマーニーなので、大立ち回りは基本出来ずな漫画だったりしたりも。その辺が必要な話が出てきたら、あるいは追加があるかもしれませんが、今の所はマーニー一人舞台。その辺がこの漫画の面白さとして立ち上がっていると思います。これが崩れる事があるのか、あるいは、このままなのか。そういう面は大変気になる漫画であったりするかと。どうなるやら。
 とかなんとか。