ネタバレ?感想 木村風太 『運命の巻戻士』6巻

運命の巻戻士(6) (てんとう虫コミックス)
運命の巻戻士(6) (てんとう虫コミックス)

 大体の内容「突発的な話なのに騙された!」。裏切者がいる、という今までの展開からすると確かにそれはいそうだな、というのを突如ぶっこんできた、と思ったら上手くミスリードさせられる、かと思ったけどその流れすらミスリードなのか!? という感じで、相変わらず情報の抜き差しが上手すぎるのが、『運命の巻戻士』6巻なのです。
 この中に裏切り者がいる。というのは、先述通り今までの展開からすると確かにそうなのです。今まで、巻戻士側の情報が知られてないと、シライさんの過去に行くのは全くの無理。いるのは間違いない。
 その洗い出しで、犯人が誰か、というのは分かるのですが、その分かってからの錯綜と、それならそっちしかないやん! でも違う人やん! からの展開が怒涛。
 あいつが裏切者、だけど任務外の巻戻士全員を集めたのにいない!? からのその正体が全く唐突だったのに全く納得可能だったのが、この漫画のとんでもなさです。確かにそれはありうる! という納得と、そこにまだ振れ幅があったのか! という驚愕がぶっこまれます。
 内容は無茶なのに納得はできる。納得は全てを優先するってジャイロ・ツェペリも言ってた。なので、感心せざるを得ない。すげえ。
 で、その後当然のようにクロノがころころされてしまいます。そこから、その裏切者と、それを裏から手を引くやつの話に突入してバトル展開なのですが、それよりもその裏切者の話もだいぶ闇が深い。深すぎてアイエエエエエ!? って忍殺の悲鳴が出るくらいの闇がありました。
 タイムリープ物なら、確かに起こりうるネタである意味で定番なんですが、コロコロコミックでこのネタ持ち込んでくるんだ、という驚愕がありました。しかも、出てくる時はそれはダメよ? と線引きして起こらないようにするものが、もう既に起こってしまっているのです。それでその裏切者が、その起きた事案という。この漫画、油断ならねえ! この重いネタをきっちりやってくるのと、それゆえの裏切者のメンタリティが、というので、全く無駄がない所作となっています。
 さておき。
 その裏切者を、しかしクロノは助けようとします。助けられるとクロノは思っているのです。助けられないだろ!? となるところで。
 そこに対する理路は、6巻で既に蒔かれているのですが、このさり気なさ! 7巻でどう解決するか分からんとはいえ、あそこはその助けられるという部分に値しましょうな。というのが6巻で示されいる。この本当にきっちり提示しているから凄いよなあ。
 とはいえ、ここで裏切者を助けるだけでは話が済まないようになっているのもテクい。クロックハンズの上位である3時がいて、それに対して裏切者が心酔している、というので、そこも崩さないと助けられないけど、どうなるんだろうか。そこも種は蒔いてあるので、そこを普通に収穫するのか。それとももう一段あるのか。この漫画なので予断を許しません。
 ということで、7巻まで話がつながっている状態になっている6巻。7巻でこの話は解決するでしょうけど、どういう禍根が残るのか。あるいはそれがいい方向に行くのか。禍根残しそうだなあ、と予断しつつ、今回はここまで。7巻はやくしろー! 手遅れになっても知らんぞー!