ネタバレ?感想 カロル・ゼン:フクダイクミ 『明日の敵と今日の握手を』4巻

明日の敵と今日の握手を【電子単行本】 4 (ヤングチャンピオン・コミックス)
明日の敵と今日の握手を【電子単行本】 4 (ヤングチャンピオン・コミックス)

 大体の内容「青い春を巡って大人達がバッチバチ!」。新登場の新しい大使の娘、エナ嬢(16歳)の登場から、そのまだまだ青いがゆえの行動のせいで、回り回ってハラルドがハニートラップを仕掛けているのでは? と諜報部が右往左往するのが、『明日の敵と今日の握手を』4巻なのです。
 ここのハニートラップに、いみじくも見えてしまっているのは、エナ嬢が少し懇意にしているジェームス君が、実は王族のご落胤である、となっているからなのです。
 しかし最初それを読者側が知らされず進むので、諜報部が右往左往しだしてどうした? てかあの子そんな大事なの? 普通に懇意なだけやで?  と置いてけぼりにされます。そこはまあ問題点かもですが、そこにハラルドの名が出てくることで、この混乱がハラルドが絡んでいると勘違いしてしまったから、というのは飲み込めます。
 それだけ、ハラルドの名は混乱の元であるとは、既に読者側も織り込み済みです。3つの巻の間で完全にわからされています。だから、勝手に策謀を感じてしまったのも分かるわけですが、そのハラルドの謀を幻覚してしまったせいで、若い二人をどうにか自由恋愛させねばならぬ! とハラルドが腹を決める形に。
 そうなると当然アメリアさんがそこに遣わされる訳ですが、そこがどうなるかは次の巻となります。
 さておき。
 4巻はおおよその人たちが相手のことを勝手に思い込んでメタメタになっていたのが印象的です。エナ嬢はアメリアさんをこいつがやばい! と変な目で見ているし、アメリアさんもハラルドが絡んでるからこれには裏が、と疑心暗鬼で周りから怪しく見られるし、諜報部はやっぱりハラルドが絡んでるからハニートラップを疑う。
 ここで虚心坦懐、ちゃんと腹を割って話せば解決するとこですが、そんな簡単なことができてるなら戦争なんて起こってねえよ! というお互いのメンツと秘密の話ゆえ言葉にもできないのが混ざり混ざって事態が混迷しています。
 ここは特に、ハラルドがハニートラップなんてしてないことが明らかになった後の、腹の言葉とは裏腹な外交トークのとこで、この言葉が言えたら話早いのになあ、という感慨を持たせられます。心の方は毒づいていても、会話はあくまで紳士的なので、政治って大変だなあ。ってなります。
 さておき。
 この漫画、どう言う漫画なのか、と言うのを常々考えていました。外交漫画、と言うとなんか違う。そうなんだけど、そこだけでは上手く言えないアトモスフィアがある。
 というので、そのアトモスフィアを考えていましたが、4巻の描写を見て、気づきました。
 ギャグ漫画だ!
 コメディ漫画といった方が良いかも。思惑が分からず変な行動するとか、勝手に思い違いして間違った方に進むとか、コメディとして見ればネタな扱いという視点が得られます。
 そう見ると、この漫画で変な笑いがでるのも納得で、変な形で笑わせようとしてきている、ということなのだと分かります。変なので変な笑いになる、ってこと。
 普通に外交なネタやっても地味でつまらないから、色んな無茶な話をぶっ込んで且つコメディ調に仕立てることで、外交物の話の内容を理解しつつ、楽しめる作品として仕上がっている。そういうことなのだと勝手に解釈しました。
 なので、この漫画はハラルドに振り回される人達を見るのが第一義である、とも解釈可能です。それは序盤の段階で分かってたことですが、それをコメディとしてやっている、というのが分かった、という感じです。
 さておき。
 今回の巻で一番衝撃的だったのは、ハラルドが過去に妻を亡くしている、という話。
 それもハラルドが、恋愛結婚していたというのです。これはにわかに信じられませんでしたが、とりあえずハラルド主観では恋愛して、だった模様です。
 どんな物好きだよ、と失礼なことを思いましたが、その方が数学者で、更にハラルドの多くはない言及からでも、もしかしなくても変な人なのでは? という雰囲気が醸成されています。ハラルドに付き合えるの段階で変な人なのは間違い無いんですけども。
 この辺は実際どうだったのかは、深く語られないので断定できません。諜報部は形だけの結婚で中身はなかっただろ! と断定してましたが。その気持ちはよく分かるし、仮にちゃんとしてたのだとしても十中八九変なカップルだったのは間違いなさそうなので、いつか嫁さんエピソードとか読めたらいいのですが。そこに深堀する漫画じゃないっちゃそうなので、望み薄か。
 さておき、エナ嬢とジェームス君の恋模様は、大人達のせいでどうなってしまうのか。次巻予告の方ではさらっとなのでサクッと決着つきそうですが、はたして。
 とかなんとか。