ネタバレ?感想 よしむらかな 『ムルシエラゴ』24巻

MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ- 24巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)
MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ- 24巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)

 大体の内容「やべえぞ! 真面目だ!」。今までは一つの巻に大体一つはネタなとこがあり、そういう意味では緩い作りだった『ムルシエラゴ』ですが、24巻に到達した今巻は全体的に真面目に推移します。バトルシーンとシリアスに展開するシーンが多いので、ほとんどネタ度のないのです。
 なので、やべえぞ! なのです。この漫画がちゃんとしているというのが実は意外とレアケースに到達し、読者の本懐にはなりますが、ネタな部分をチェケラ! した文章を書いていた自分にとっては真面目でどうしようとしかいいようがないのです。
 とか、一瞬感想を放棄しかけましたが、ちゃんと感想を書きます。
 今回は屠桜の力についてかなり深いところまで到達しました。まだ不明な点が多く、不確かなんでこうだ! とはならないのですが、なんかキャンセル能力が範囲効果である模様です。
 その力は、しかし調香師には困る能力であるらしいとも明かされます。実際に、不老不死の力、マジでそういう方向性の話になるんかい! があると目された遺骸に触れて、その力を消してしまったという展開が待ち受けています。
 そもそも不老不死ってなんだよ! なんですが、今までの薬、つまりチェザーレ関連でも異常な生命力を見せていましたし、調香師のそのもっと濃いので首だけで生きているというやつも出てきましたので、その方向性は成程くるか、とはなります。
 その不老不死に、ひな子ちゃんが台無しにしてしまった遺骸が関連している、とはなりますが、それはひな子ちゃんのせいでおじゃん。となると今後どうなるんだ?
 というかそもそもここでいきなり不老不死って、いやまあフリはあったけど、でもやっぱり無茶苦茶なことを言いだしているけど、この漫画だからその不老不死が単体では意味をなさない、なにか関連するものがあるはず。
 つまり、単純な不老不死だけが目的ではないだろうと。悟嬢がそれを促進させようとする意味付けも不明です。欠損且つ24巻唯一のなまおっぱい枠の悟嬢が、単なる不老不死に興味があるかというとなんかそういうのなさそうなんですよね。
 そもそも、悟嬢はこの漫画において裏の道の人ですが、そもそも何をしたいのか、というのがあんまり見えてこない。大体、悟老とかは確か悟嬢のことを死んでいると思ってたはずですが、それが何で生きていたのか、というのも全く不明です。欠損になって生きていた、けど、その生きているうちに何をしたいのか。今までの薬関係に関わっているのは間違いないですが、それで不老不死を求めるのか? というのがやっぱり謎。
 根本的に何をするにしても動機が全く不明なので、この訳知り顔は何をしようとしているの? という点以前になんでやってんの? になってしまいます。
 調香師の人は割と本気で不老不死を求めているのは間違いない、それに近づく薬作ってるし、んだけど、悟嬢はそこだけじゃないのでは? という気はするんです。気はするんですが繰り返しますが動機が見えないので、何故加担するのか? というのが全然見えてこない。
 ここがある意味でこの漫画のジョーカーとして、いきなり大鉈を振るってくる予備動作にも見えるんですが、この漫画の核心に迫るだけ迫っても鉈振るってこないという可能性もあるので、マジこの振り上げた鉈どうすんだよ……。と戦慄顔です。
 さておき。
 ひな子ちゃんの力についても、だいぶ解像度が上がった巻でもあります。先述通り能力キャンセルみたいな能力で、ある程度範囲効果、というのが描写されます。範囲系なので位置が分かりやすい、という話をしていながらこの範囲効果を伏せることも可能っぽい、範囲見ていないと思ったら、いた! という展開するので、というのが提示されるので、ますますなんだこの能力。となります。
 キャンセル系能力、というのがぶっこまれて、この漫画のラインが分からなくなってきます。しかし、そもそもロボが可能な世界だし、チェザーレはあるし、悟嬢のドク・オックなやつとか鳴海さんのアイアンマンなのとかあるので、そういう意味では結構無茶な世界観だったんだな、というのを再度理解する感じです。
 そんな無茶世界なのに、おっさんたちは普通に殴りあって泥臭いバトルしていたりもします。ヤメ警VS893&鶴さん、というわりとこの漫画の泥臭い系頂上決戦でしたが、本当に泥臭い殴り合いでそれはそれで見所です。ですがその後で不老不死とか重火器メイドとかキャンセル能力とか見ると、なんであそこあんなに泥臭かったんだろう、という感想すらできます。ある意味牧歌的まであるので、この漫画すげえバランスで成り立ってるなあ、となりました。
 さておき。
 調香師の人の目論見はほぼ偶然でついえましたが、そうなったらそうなったで調香師の人はどう動くのか。というのが25巻の目玉になりそうですが、そうなるとヤメ警がどう話に絡むのか。単に泥臭い殴り合い要員でしかなかったとか言い出すのか。ちゃんと何かある漫画なので信用はしていますが、全てをいきなりジャガる可能性もあるので、25巻はわりとターニングポイントかもしれません。期待して待ちましょう。
 とかなんとか。