感想 椿いづみ 『月刊少女野崎くん』2巻

月刊少女野崎くん(2) (ガンガンコミックスONLINE)

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 大体の内容。「ラブがあると思った? 残念! 今回もコメディばかりでした!」。基本カップルと言える筈の野崎&千代に浮いた所がマックス無いのですから、他の方もお里が知れよう物です。一番芽がありそうなのが鹿島くん&堀先輩、だけどどう考えても堀先輩のはラブじゃねえよな…、保護者としてだよな…。仲は悪くないけど。と言う風に見える段階で、「ラブ? そんなものは無い。兎に角お前だー!」という叫び声が聞こえてきそうです。ここまで少女漫画の描き手にその方向性をさせないでコメディるというのは、作戦あってるのか間違ってるのか、生半には判別出来ない事案でありますね。あるいは、本人もコメディで押し通るが楽しくて仕方ないのかもしれない、そういう思いすら想起させる、それが『月刊少女野崎くん』2巻なのです。
 今回はキャラのコメディもいいですが、キャラが出揃ってきたからこそ出来るシチュエーションコメディの味わいも深いものがあります。特に雨の回のバカっぽさは素晴らしいですね。雨が降ってきたけど、野崎くんも千代さんも傘が無いからどうするかで、とりあえず上着を被っていけば良いんじゃね? という思考に到達して本当にそれを実行。ワーーっ! と行って、ワーーっ! と帰ってきて無理だよね、という理解に達する辺りのバカさ加減が可愛いとすら言えるレベルでした。なんなのこの子たちー!? なんというか青春の浪費的一側面を見た思いです。その後、なんとか傘を入手(結月さんからの男気めいて特に何も考えて無いであろうプレゼント)した後も、じっくり傘ネタを使ってきて、ほほう、やりおるわ。と、謎目線してみたり。キャラ中心コメディ回も上手いですが、シチュエーションコメディも十二分に上手い。というのはかなりの傑物。ケツブツ! と字の文=サンになって叫びたいレベルですよ。
 とはいえ、やはり濃いのはキャラコメディの回ではあります。この巻ですと、ミコリンが美術部に頼まれて色々ポーズを取っている回が宜しかったですね。千代さんがジュース奢ろうと一旦中座したら周り知らない人だらけだから「一人にするなよ!」とか言い出したりしたのが最高でした。イケメンなのにこの恥ずかしがり! ついでに人見知りが少し回復して打ち解けるといつも以上に恥ずかしい台詞を吐いて結局悶絶するという辺りも抜かりなく、ああ、ミコリン可愛いなあ、とか思うのでした。って、そこばかりクローズアップだから千代ちゃんがラブ進行出来ないんだよ!
 とかなんとか。