感想 杜康潤 『孔明のヨメ。』2巻

孔明のヨメ。 (2) (まんがタイムコミックス)

孔明のヨメ。 (2) (まんがタイムコミックス)

 大体の内容。「孔明さんと月英さんの日常」。大体の内容については1巻目と同じ文句を書き連ねてしまいましたが(1巻感想)、基礎としてこの漫画は孔明さんと月英さんがじっくり仲良くなっていく様を見る漫画でありまして、特に大波乱が、戦乱が巻き起こるという事はまだない――三国志の時代ですし、孔明さんは諸葛亮孔明なわけですから、いずれは戦いの中に身を置く事になるわけですけれども。――のでありますから、内容について特に変化があるわけないので、同じになるのも仕方ないのであります。(迫真)
 そんな訳でいつも通りの農作や工作の日々を恙無く過ごす孔明さんと月英さんですが、ちょっとずつだけどいつもと違う事も起こったりします。その筆頭が来客。特に前半では前巻で変な引きになってた件が、実は……、と正直そうで良かったという展開にしつつ、徐庶さんが登場する形に。あれがもし違う形になって、あるいはまかり間違って孔明さんが女性に好かれるようになる、だったらどうしようか、とか思ってましたが、良く考えるとそういう漫画じゃねーからこれ! という悟りを得られました。だよね。ここで仲をぶっ壊したら確実に収拾不可能だし、孔明さんがそんな軽い男なわけないもんね。とはいえ、孔明さんに接近する女性に対して全てで負けしていると衝撃を受ける月英さんは可愛らしかったですよ。ちんちくりんなのが引け目だもんなあ。
 さておき。
 もう一人の来客である龐統さんの登場も、徐庶さんの登場と同じ様に、じわりとこの漫画が動く時期が少しずつだけど近づいているのを理解させる所があります。実際にはもうちょっと先なので、たぶんまだゆっくりと孔明さんと月英さんの仲が進展していくんでしょうけれども、そういう要素がある、というのは今後も小出しされていくんだろうなあ、とか思いました。本当なら、そっちの大事さを求めるのが筋なのですがしかし、このまま二人がいちゃいちゃしているのを続けてくれてもいいな、という想いもあったり。ある意味、三国志物としては新機軸になってしまうけれども、そういうのもあっていい。そう思ったり。だって、孔明さんがちょっと踏ん切りをつけてる所を見ると、もうこの夫婦可愛いな!とか変な気持ちになるんですもの。このままこの関係を少しずつ進めて欲しい、この空気が続いて欲しい。二人の以後の人生の波乱さを考えると、よりそう思ってしまいます。
 さておき。
 今回の展開でももう一つ特筆すると、水鏡先生こと司馬徽さんの所へ孔明さんが行く、というのが。それが心配でついでに水鏡先生を知っている月英さんも同じ所へ、というのが何故か孔明さんが水鏡先生の門弟に物を教える事になったと思ったら何故か月英さんも混ざってるよ! という展開に。ここで内需の功が発揮されたりするんですが、それよりも作中時間での勢力図が明らかになる方が個人的には特筆点です。袁術がまだ生きて曹操と戦ってる時期、と提示されました。孔明さんが活躍するまで後もう少し時間があるのが、それで分かって、そうなるとこの話どこまで行くのだろう。というのも気になります! 一代記として終わるのか、それともそれより少し前に、劉備仕官辺りで終わってしまうのか。どう考えてもそうはならないとは思うんですが、そうなると漫画の様相が全く違う物になるのも想像がつくので、どうなるかなあ。そんな事を思ってしまうのでした。
 さておき。
 おまけとして杜康せんせの中国旅行記がちらっとありますが、この人、本当に三国志好きなんだな、というのがその旅行記で感じられて良かったです。住んでた所を詣でる、という辺りも真摯な物と狂気的な物を感じたりも。そこまでする必要ありますか!? という感想も漏れ出るというものです。でも、本人はやりたかったんだから、それでいいのだろう。とかなんとか。