感想 逢空万太 『這いよれ!ニャル子さん』5巻

這いよれ! ニャル子さん 5 (GA文庫)

這いよれ! ニャル子さん 5 (GA文庫)

 内容を要約すると「図書館行ったらさあ大変!」。いつも大体ほとんど大体ほぼ大体どっかでさあ大変、が世の中の創作というものではありますが、この作品としては珍しく率先してクトゥルー的な場所に行った、というのが特徴的な巻。それが『這いよれ!ニャル子さん』5巻目なのですが、内容についてはほぼいつも通りの推移でした、と書いて終わらせたい位、「ストーリー? そんな物はない。兎に角お前だー!」という逢空万太てんてーのドヤァ顔が透けて見えるようになってくると中級者らしいんですが本当なんでしょうか。←謎の問いかけ
 さておき。
 この巻のメインは、ハス太の真の姿と、宇宙人三人組の合体技であり、それ以外は端というか、引き立て役というか、ぶっちゃけ瑣末である、という凄く割り切った様はいつもの『ニャル子さん』ですが、その為の今回の敵役の設定が酷いにも程があり、しかし瑣末、だからこそだろうが! という顔つきすらあるムチャクチャなものでした。死に絶えそうな生物がいないなら、新たに生み出してしまえばいいじゃない! という究極のマッチポンプで生み出された今回の敵役の特徴は、ノートに設定されたから不死身! どうするんだよそれ! というのを、がつがつと殴り倒す形になるハス太の真の姿、サイクロンエフェクトの強さは引き上げられていました。その為の木偶ではありますから、当然ですけども。とはいえ、不死身。どう倒せばいいんだよ! と思ったらテンサイ級のオチがそこには待っていました。正直、それを見た時の脱力感は半端なものではなく、ポカーン という擬音がリアルに出る惨事でした。まあ、そりゃ、そうだろうけど、さあ……。この辺りの匙加減というのが絶妙にテンサイ級としかいいようが無い辺りが万太てんてーの凄い所ですよね。←婉曲表現
 さておき。
 そろそろ、この作品の凄みというのが更なる展開を見せているような気がします。そう、伏線の無駄遣い、あるいは最効率的遣いが。登場人物が伏線というものを理解して、これが伏線なんじゃねえのか、とか言い出す辺りが本当に無茶苦茶です。しかし、既に5冊もこのシリーズ読んでいると、どういう無茶な落ち方をしてくれるか、という奇態な期待すら、読者側はもっている訳で、それを今回も安定の無茶な落とし方でいなしてくれる万太てんてーは本当に出来ておる喃としかいいようがありません。ある意味において、縦横無尽変幻自在のパロネタやこの伏線のやり方は、ライトノベルの限界点すら探られているように思います。何処まで上るか、逢空万太
 とかなんとか言ってみたり。