感想 小池定路 『ゴーゴーダイナマイツ』1巻

 大体の内容「女の子青春ガチチアリーディング物語」。女の子がわんさか出てきてきゃいのきゃいのする漫画かと思った? 甘ェ! と言う事で女の子の部活物だけど内容的にはガチの青春物として描かれる漫画、それが『ゴーゴーダイナマイツ』なのです。
 先に甘ェ! と女の子キャッキャッウフフなノリを否定しましたように、この漫画は女の子がメインですが、所謂萌え萌えとした雰囲気とは隔絶、あるいはだが、しかし、まるで全然! 萌え萌えとは程遠いんだよねぇ! という内容であります。実際の所、女の子が集まって萌えっとぐだぐだするのではなく、明確にチアリーディングという競技をしていく為に動いているので、可愛いのは可愛いんですが、とろけるような萌え萌えさというのとは違い、シビアな面もしっかりとしています。ダイナマイツの構成メンバーの皆が誰もが運動系の事をしていたけど、今はそこから離れている。そしてそれには訳がある。というのがあって、しかも皆が皆結構シリアスな事情を抱えて、でももう一度、今までとは違うけどチアリーディングで、というのがこの漫画の根底なのです。この1巻ではその事情を出して、且つチアリーディングの為に体を作っていく方向に行きますが、皆が皆、上手く自分の事情を解きほぐせは、まだしてない。そこがまたいい味。これから実際にチアリーディングをしていく形になったら、またどういう流れになっていくのか。そういうのが大変気になる内容であります。チアリーディングをしていく為の知識というのを、ダイナマイツの誰もが素人だから知らない、というので大体の場合知らない読者と同じ目線でそのやり方などを見ていく、という形になっているので、これが花咲く日が来るなら、大輪だろうな、と思わせるけどやっぱり地味めの仕込みもあるので、さてどうなるか。
 さておき。
 この漫画の見所というのは、勿論ダイナマイツの面々がどうなっていくのかですが、それ以外の面々、教える側の教師やダイナマイツの一人である赤根さんが気になる男子学生や女だらけのダイナマイツに入る男子生徒などがどうなっていくか、というのも見所。皆が皆、色々と事情や思いを抱えていて、それがじわじわと変わっていく、というのがいいのです。それが絡み合って、内容を色濃いものにしています。そしてこの辺の人物の関係とか成長とかも、この漫画がして行く事なのかなあ、と思ってみたりします。この辺りの妙味は流石の小池定路味であります。
 小池定路味としてもう一味、『父とヒゲゴリラと私』でも出ているボケのノリもこの漫画でも十二分に発現しています。基本的には結構テンション低めなコツコツしたノリがその味わいですが、それでもそれを畳みかけてくる時もあったり、ある意味では真面目なシーンの中にボケを仕込んだりなどのテクも見れたりします。この辺の地味ーとした滋味のあるボケ具合と的確なツッコミ。これがきっちりとこの漫画のアクセントとしてあるのです。そこを感じつつ、偶にあるシビアな部分を楽しむ、という楽しみ方がこの漫画には向いているかもしれません。その滋味さ加減を存分に楽しみたい。そして先も見たい。どうなるかなあ。