今年のヤングキングアワーズ

そういうわけでね、やってまいりましたね、年の瀬。
「ほとんど何も無い一年だったな。 特に初夏から。 それもこれも」
まあまあまあまあ、それは言いっこなしって事でね。
「ふん、まあいいさね。 今更終わった事を愚痴っても仕方ないしな」
そそそ、そういうこと。 でまあ、その代わりといっちゃなんなんですが、初夏から以降のアワーズを一括して語ってみようかと思うわけでして、ええ。
「まとめて通販で一気読みしたからな」
は。 はははは。 まあまあ、それはそれで。 えー、で、でしてね、語り始めるわけですけど、私が語りだす前に、あなた、何か言いたいことは?
「「HELLSING」のアニメ、また延びたな」
…それはふれてもいい事なんでしょうか?
「知るか。 だが、こうも順調に延びていくと、こっちの視線もどんどん生暖かくなっていくって事は事実だ」
……。 まあ、そこは、姫萩夕が大活躍している事で相殺としましょう。
「それは違う漫画だ! 「ジオブリーダーズ」の事じゃねえか! そういうのは漫画の方の「ヘルシング」の展開とかで相殺させろ! せっかくアンデルセンがー!の怒涛の展開なのに!」
わかってないなぁ。 夕の場合は活躍=運転=船という回路を通じて船に萌える事が出来るわけですよ? 梅崎さんも格好よかったですが、やっぱり夕にはかないません。 まや&まや二号もかないません。
「お前の頭がおかしいのはよーーくわかった。 医者に行け」
でと、その話は置いておいて、今年は中綴じから平綴じに形が変化して分厚くなれる体制になったわけですけど。
「…。 今の所は減ったり増えたりで、あんまり太さは変わらないな」
ええ。 今年、卒業したのが「ピピンとピント」、「ラブ・バス」、「コミックマスターJ」、「超人ロック 冬の虹」、そして「妄想戦士ヤマモト」でしたね。
「その代わりに増えたのが「惑星のさみだれ」、「ワールドエンブリオ」、「それでも町は廻っている」」
で、今月発売の号で「平成COMPLEX」、「声が聞こえる」で五つですか。
「「東京クレーターのアカリ」も実質的に定着したから新連載に入れられるだろう」
微妙に数が合いますけど、連載終了時期や開始時期が結構ずれてて、その分を不定期連載の「鵺子鳥」、「RAISE」が出たり入ったり、大石マサルの短編とかが混ざったりで、トータルとしての分厚さはほぼ一定でしたね。
「昔の「マガジンZ」とか「ウルトラジャンプ」とか「アフタヌーン」とか、今だと「ガンガン」とかみたいに、際限なく太くはならないな。 やっぱり採算ラインとかか?」
一時期の「マガジンZ」のページの振れ幅はすごかったですねぇ。 あの頃、っても5年も前位でしたっけ。
「ああなると思うか?」
まさか。 今時、分厚さ勝負は流行らないでしょう。 それにアワーズは異常なほど弱肉強食且つ適宜生存ですから。
「矛盾して無いか、それ」
そうでもないですよ。 ある弱肉強食の場で勝てないなら、違う弱肉強食の場で生きればいいんですよ。 生き物の多様性はそういう所からきてるわけで。
「分かった。 で?」
ああ、アーワズですね? これはノルマというかカルマというか読者の求めるレベルは高いけれど、隙間をみつけて一点集中で突き抜ければ、付け入る場所はあるんです。 「それでも町は廻っている」なんてその典型ですね。
「確かに、アワーズにはあの作品のような「ただ普通の人たち」の話は少ないな。 「ヒミツの保健室」位か」
そういう事です。 まあ、これは俗に「マニア向け」の雑誌には顕著な例ですけどね。 アワーズはその部分が徹底している気もしないでもないですが。
「くるくるパーの気のせいはさておいて、軽く来年の展望とかどうなっていくか。 そういったことは?」
くるくるパーじゃありません!
「うるさい船萌え」
あれはちゃんと迂回路を経れば夕萌えなんです! …まあ、それはおきましょう。 来年の展望ねー…。
「無いの?」
あんまり読者の私の言う事でもないですからね。 あー、でも、そろそろ主要な漫画群である「ヘルシング」、「トライガンマキシマム」、「ジオブリーダーズ」、「エクセル・サーガ」の四つがほぼ同時期にクライマックスに近づきそうで、そうなると支柱がまとめてなくなっちゃうんじゃないかって思いますね。
「屋台骨だからな」
そうなんですよ。 でもまあ、意外と大丈夫かもしれないとも思うんです。
「楽観じゃないか?」
いえいえ、そうでもないですよ。 だって、アワーズって色が無いじゃないですか。
「色?」
ええ、掲載される漫画の傾向みたいなものだと思ってください。 まあ、だから、ひょっこりと違う畑の実力者とか新人とかが中心に変わってもあんまり違和感無いかもなー、と。
「俺はそう簡単には、ことが運ぶとは思うがね」
そうかもしれませんけど、元々アワーズは「流れ者」が集ってできた所がありますからね。 さっきあげた支柱の4作者も、実力はあっても全面に出す場所が無かった人たちですし。 今年の新連載陣も「惑星のさみだれ」以外は全部渡来した人ばかりですもん。  上手く人を集められれば、大丈夫ですって。
まあ、衰退して消えていったとしても、をれを見るのもまた、漫画読みの醍醐味ですから。 双方向にバッチこーい! ってことで。
「語ったわりには、わりとどうでもいいんだな、その辺」
読者なんざ、そういうもんですよ。 と、シニカル気取って終わるのもいいですが、それよりあなた、俺女だったんですか?
「自分の一面に勝手な設定をつけるな!」