感想 F4U 『文化部をいくつか』

文化部をいくつか (ヤングジャンプコミックス)

文化部をいくつか (ヤングジャンプコミックス)

 大体の内容。「文化部がいくつか、キャラ物がいつくか」。前半と後半で趣きが異にしすぎというか、これぞ迷走! という具合だったりしますが、それに先立って主目的かと思われたエロ面がスポイルされてしまうというのは、ファンの方からしたらどうだったのだろう、と良くわからない思いに囚われてしまいます。でも後半はのんきなつもりで見てるとえらい目を見る内容となっており、むしろこの味の具合ならばこれを序盤から、とも思しまいましたが、たぶんに劇薬だったのか、この一冊で終わってしまいこの諦念…。
 さておき。
 F4Uの名を『怪獣のテイル』(感想)まで恥ずかしながら寡聞にして知りませんでしたが、あの味わいの独特さを知った後、前連載作のこの作品の名を知り、購入に走ってみました。そうしたらこれも『テイル』同様の独特のノリと『テイル』にもあったけどそれより濃厚なエロへの執念が鮮やかに彩られており、非常に楽しませていただきましたよ。しかし、ラブい話も旺盛な前半に比べて、男子面子より女子だろ! って割り切った後半のが見ていてやっぱり安心できる、というのは現代病だなー、と思わなくもありません。たぶん、男のキャラとそれへの愛が確実に女子面子より劣っていたのが、女子中心へのシフトしても安心感を感じた原因でしょうが、それはまたそれ。っても、ヤンキー文学少女とか、キャラ立ちすぎてたよなあ。あれじゃあ、男子キャラはもやしも同然だよなあ。あれくらいの濃さが男子にあれば、また違ったのかしら。
 好きな話は定番でしょうがメタい漫画部の話と百物語の話。どっちもどうしようもなくやりたい映像を描く事に注力しておられ、前者が漫画表現メタメタ、後者が名状しがたき異様を描いておられます・その辺が『テイル』とはまた違った味わいの逸脱さで楽しかった出ございます。それと怪獣と男の子のアニメの話を作っていく辺りは、プロト『テイル』を感じられて、しかしその内容の快活さを『テイル』と比較してへんなこそばゆさを感じたりもとかなんとか。