感想 氷川へきる 『ぱにぽに 16』

ぱにぽに(16) (Gファンタジーコミックス)

ぱにぽに(16) (Gファンタジーコミックス)

 大体の内容。「復讐劇、テンペスト開幕から閉幕まで!」。一巻で収まる範囲の長編となった今回ですが、『ぱにぽに』らしいゲンゲン肩透かしを交えつつ、実は読めていた、天才だからな! を駆使して展開される話となり、詰まる所後出しじゃんけんだこれー!? という言葉が出てしまいたくなるのを抑えられない。そんな強権発動なお話。正直申しまして、ここまで強引だとなんだか虐げられて面白くなってくると言うか、Mっ気が頭をもたげると言うか、もういいよそれで! って叫びたくなるような、そしてこの諦念……。チックな想いを持って、なんかわからんが楽しめた一作だったのではないでしょうか。もう、楽しんだ者勝ちの領域に入ってましたよ。入っていいのか、それ、と思う向きもあると思いますが、そういう作品ならそうと知って楽しむのが一番でありますよ。無理しない、無理しない。まあ、実際の所、ガチャガチャしたわりには、特に姫子辺りは話への貢献度が絶対にノウ!な辺りが泣かせます。姫子人気キャラちゃうの? でも、姫子達桃月学園面々が特にテンペストに絡まなかった、あくまで日常の光景であるがゆえに、という辺りはまあ、その辺ベッキーの事情だからね、とかなんとか。
 キャラ的な話に移行しましょう。キャラ配分としましては、前述の通り、姫子&6号さんコメディリリーフというか、最初の方の話の駆動に一役以外は速攻退場してドサ廻ってた以外はわりと順当に出番があったような。ほぼ『ぱにぽに』オールキャストでしたので、出番たってちょい役も多いですが、皆それなりに印象に残る、侵食される日常の側という仕事をしてたのではないでしょうか。対してベッキーの事情組は新キャラが瞬間的に大活躍して、戦場組強すぎる! と驚嘆するばかりでありました。相手は一応強化人間っぽいやつらだったのに。強化した程度で勝てる程戦場あまかねえんだよ! っていわれたらその通りだなあ、って思うだけです。でも、あまりに噛ませ犬過ぎるでしょう? 妖精さん達、あれで出番終わりなの? 何の為に出てきたの? 噛ませ犬の為? ならしょうがないな。
 そんなわけで、なんとなくB級アクション二時間ドラマのような、勢いとガチャガチャ感だけで押し切った巻ではありましたが、それはそれで、なんというか愛おしくなるのはまあファンの欲目ですな。キャラほぼ総出も、スペシャル番組と考えればなんとなくレアな物見れたような、そんな気分にさせてくれる一冊だったと思います。伏線大体回収してしまって、今後どうするんだろうって気もしますけどね!