感想 逢空万太 『這いよれ！ニャル子さん』3巻

這いよれ! ニャル子さん 3 (GA文庫)

　大体の内容。「入れ替わり！　なんと聞こえのよい言葉か―――」。そんなわけでニャル子さん3巻目で、いきなり入れ替わり展開です。こういうのはもっとキャラ増えての方がこんがらがって楽しいんじゃないですかねー！　という思いを持ったりしますが、そこはアニメの方でもあんまり変わらない感じで再現されたのを見ると、あんまり多くても混乱が強すぎるだけか、という理解に。しかも基本的にひどい話しかないニャル子さんでこのネタをしないのも、それはそれで勿体無いのでありますし、それが少々早かったからと言って問題は特に無いのであります。それにそれだけのものが最終的に見せ付けられる展開となって、それを激しく理解するのでありました。
　それだけのもの、というのは二つあって、一つは入れ替わりだからこそ出来る勝手に愛の告白。きちんと『オーバーマン キングゲイナー』の大告白に則った愛の告白はそれだけで感服仕ります。これはひどい。主に真尋さんの今後的な意味でひどい。仲は良いと周りから思われてるというのはあるにしても、ここまでガチに告白したら（されたら）、もう他の見方で見られないだろうといえる大演説。必死に止めようとする真尋さんの行動も、逆に白々しいものとして立ち上がってしまうし、本当にこれは大変な事ですよ。後々あんまりそれについて言及が無い気もしますが。これが結界の力と言う事でいいんでしょうか。やっぱりこの話で一番都合が良いのは結界の設定だよなー、と思わせるインシデントです。
　二つある、と言いましたがもう一つの方は、あまり大きな声で言うのは憚られますね…。歴代平成ライダーのキャッチコピーが綴られるあの場面というのは、なんとも言えずやっちまったー！　感が満載と言うか。キャッチコピー連打の方もやっちまったですが、行為の方もね…。ある意味この小説にしてはおとなしいアトモスフィアすらありますが、それだけガチだったという見方のが正しいのでしょう。しかし、それ以前の、あの行為に及ぶ形になる直前の真尋さんの、ニャル子さんに起こった事に対する衝撃具合が、SAN値減りまくってるせいなのか、それとも違う何かなのか。たぶん、違う何かにSAN値減少が絡んだ結果という見方のが正確でありましょう。どっちが強いか、は、やはり良く分からないですが、でも前者の割合も大きくなってるのかな？　という風にも見えたり。で、その後で、あれ。以後、折に触れて告白よりもこっちが立ち上がってくる辺り、相当の衝撃のアルベルト度だったんだろうなあ。
　さておき。
　ストーリーライン的にはいつも通りグダグダで、ストーリー？あんな悪人何故庇う！と言わんとしているようにすら見えるのがこのシリーズの妙でしょう。もう、妙という言い方でないと、正常に判断出来ないという事も言えますが。ある意味、ライトノベルという物がどういう物かと言う試金石として、00年代後半〜10年代前半の代表として屹立しているとさえ言えるでしょう。その無茶苦茶さ。イエスですかねー！