感想 星野蒼一朗 『這いよれ!スーパーニャル子ちゃんタイム 1』

這いよれ!スーパーニャル子ちゃんタイム? (フレックスコミックス)

這いよれ!スーパーニャル子ちゃんタイム? (フレックスコミックス)

 大体の内容。「これはひどいコミカライズ」。これはひどい。そうついつい口に出してしまいたくなる漫画、それが『這いよれ!スーパーニャル子ちゃんタイム』なのです!
 と言ってで内容が分かるかと言われると分からないでしょうからもう少し説明すると、この作品は『這いよれ!ニャル子さん』のコミカライズです。背面の惹句のようにスピンアウトでもいいです。スピンアウトというか純粋にアウトな気もしますが、まあそういうものです。つまり、『這いよれ!ニャル子さん』を知らないと楽しめないのではないか、という危惧がふつと湧くかと思います。それは当然の懸念ですが、それでもあえて大丈夫ですと言いたい所です。
 何故大丈夫かと言うと、元の『這いよれ!ニャル子さん』も大概アレ、というか、ハッキリ言いますとSAN値が終わっている小説ですが、この漫画はそれに輪を掛けてアレ、というか、SAN値が終わっています。スピンアウトだからってやっていい事と悪い事が普通ならあるんですが、原作が原作である為、普通になぞるのではスピンアウトの意味が無い。やるならやらねば。あるいは、やらなければやられる! という危機感が作者側にあったのではないかと勝手に邪推出来る位、原作でお目に掛かれない事をしてやろうという意志に満ち満ちてい過ぎて軽く引くレベルの漫画となっております。そのもっともたるのが、クリスマス回とコミケ回。どっちも、原作がほんの数週間の話で物凄い密度にしているがゆえに、どうしても出来ないそういう季節ネタをかっちりとぶっこんで来るという魔手にはクラクラ来ます。時間軸? そんなものは無い。とにかくお前だー! という割り切りっぷりには正直脱毛です。他には絵として出来るが故のエロネタも標準搭載。原作が何故か頑なにお風呂以上をしない(まだ6巻までしか読んでないですが)というのに、裸リボンや裸生クリームをかましてきたクリスマス回(またか!)とか、初回のミルクネタとかも戦くばかりでありました。
 しかし、それ以上にアレというか人間性をどっかに捧げたんじゃないかと思わせる所が、ナイトゴーンド及びシャンタッ君の幼女化。これを見た時の私のSAN値はもりもり減っていった様を皆様にお見せできないのが残念な位、とにかくヤバイです。幼女というかちんまい子というか、とにかくそういうのがわしゃわしゃするけどこれ邪悪な神の眷属なんだよね…。というのが脳内でぐわらんぐわらんとする中、それに萌えまくるルーヒーさんを見て心の平均を保つという超常現象が起きても居ました。ああ、俺はこの人よりはマシだわ…。と全くマシでないのに思ってないとやってられません。そも、邪神の萌え化、という悪夢がこの原作の持ち味というか妙味というかエグ味というか灰汁なわけですが、それが更に進行するというのを見て、ああ、確かに日本人は未来に生きてるなあ、とか思うのでした。アレな原作に対してアレなスピンアウトが生まれる。凄い時代になったな…。
 キャラ的な話は特にしなくてもいいと思いますがしますと、やっぱりニャル子さんのキャラクターとしての持ち味は素晴らしいですね。この漫画だと結構乳があるように描かれているので余計に。エロネタでその乳を存分に発揮する辺りが出来ておる喃…。とでも言いましょうか。それでも、ニャル子さんだと思えるのはやっぱり無駄に真尋さんが好きだけどアプローチが過激な辺りは忠実だからでしょうか。そこはこの作品の根底なので大事にしている印象があります。そういう部分で、原作を殺さないようにしている辺りは好感が持てようというものです。やっぱり、凄い時代になったな…。