大体の内容「地雷と言うか核地雷だな……」。山田には好きな女の子がいた。バスの停留所でいつも出会う彼女に、山田は告白する。だが、その彼女は超絶の地雷女で……。
と言う感じで凶レベルにやばい佐々木さんに振り回される山田の姿を描いた漫画。それが『メメメメメメメメメメンヘラぁ』なのです。
あの子がやばい系というのは一定数、この漫画の氾濫する世界にはあります。しかし、それらが長続きするか、というと中々続かないのが現状です。やばい、を描くことに注力すると、エキセントリックにしようとすればするほど方向性が分からなくなり、空中分解してしまうからです。『フランケン・ふらん』みたいなエキセントリックが長続きする漫画というのは、いわばレアケースなのです。
そういう事情の中にあって、この漫画が稀有なのが、やばい佐々木さんという存在がいるのに更にもう一人やばい牧野さんを投入してくるところです。それもわりと早期に。
ただでさえ佐々木さんがメンヘラとかそういうレベルじゃなく、言ってしまえば佐々木というカテゴリーになるレベルでやばいのに、そこに牧野と言うカテゴリーになるやばさの人を投入することによってこの漫画の空中分解は回避されたけど、ちょっと4次元にいってないか? という形になってしまっています。
だから気に入った。
この佐々木さんと牧野さんがあるいは片方だけがでてぐちゃぐちゃにしたり、あるいは両方がでてぐちゃぐちゃにしたり、というので、もう山田がこの状況で五体満足なのが不思議なレベルになっています。
しかし、それによって展開の無茶具合がきっちりネタになるようになっております。
これは『貞子VS加耶子』の名台詞、「バケモンにはバケモンをぶつけんだよ」の状態となっているといって過言ではありません。まあ、あの映画はその結果とんでもないことになってしまうのですが。
さておき。
そういうやばいダブルヒューマノイドタイフーンの中にある山田ですが、こいつもいい感じに図太いというか、両化け物の間にいて細切れにならないタフさがあります。この場合タフといっていいのかという疑問もありますが、でも二人の間にあって凄絶なカタストロフには至らない辺り、並みのものではないのは間違いありません。
あるいは、こんな目にあっているというので可愛いまであります。健気というべきかも。そもそも、化け物両者に対して力でねじ伏せる、DVをするとかしない辺りが聖人認定できるレベルです。
普通に手がでるレベルの迷惑をこうむっているのに、4巻まででみられるの暴力行為では紙ごみを投げつけるところくらいです。
紳士です。紳士過ぎます。紳士過ぎて碇シンジになります。
戯言はさておき、個人的に好きなのはYuiぽ関係。これは佐々木さんがYuiぽの名義で山田との丁々発止をゆるふわ4コマ漫画にしているんですが、そこで山田と佐々木さんの関係性が逆転しているのです。
これは逆説的に言うと佐々木さんも山田にしていることがアレなのを重々承知している、という証拠になります。メンヘラというわりには自我がしっかりしている感はありましたが、やっていることがアレなのを分かっていて全く止めない辺り、肝のすわり方が常軌を逸しています。
その上で、ネタが尽きるという展開に突入しますが、そこからの佐々木さんの計算高さ、タフさがしっかり出る展開になっており、こいつはガチでやばいな、と慄くばかりでした。
しかし、佐々木さんも牧野さんもやばいとこがなければ可愛いんですヨネ。そういう意味では迫られている山田が羨ましい点もある、……ないか。遠くから見ているから思える感情だわ。
と言う感じで毎度山田がひどい目に遭うもタフに乗り越える(偶に乗り越えられない)漫画、それが『メメメメメメメメメメンヘラぁ』なのです。