感想 押切蓮介 『ハイスコアガール』4巻

 大体の内容「なるか豪指の大復活!?」。格ゲーの腕前のみが自分の寄って立つ場所であった矢口君。それをかなぐり捨てて、大野さんの為に高校受験へ情熱を燃やしたのでしたが、その結果は切ないものでした。しかし、人生は続く! という事で、ゲーセンに行くのをなんとなくというか理由は明白ですが、とにかく躊躇していた矢口君は、買ってもらったセガサターン*1をお家でもりもりとプレイして、そのゲームの為にバイトして、という生活になってしまっていました。そんなある日、日高さんが家に来襲! 渋々ながら一緒にゲーセンに行く事になった矢口君は、そこで日高さんと対戦する事になり、そして、大敗! 元より天性の物があった日高さんは、ゲーセンで対戦して鍛えられ、強者となっていたのだ! そんな訳で叩きのめされて、そして大野さんを見かけてしまった矢口君。その進撃が、今始まる! それが『ハイスコアガール』4巻なのです!
 しかし、矢口君の盛り上がりよりも、大野さんと日高さんの邂逅(頂上決戦は無し)と、大野さんと矢口君の深夜の睦みあい(ゲームしてただけ)が見所でしょうか。大野さんと日高さんの邂逅はとうとう起きた事態ですが、直接対決という方向にはいかず、それに大野さんが特に喋らないのが絡まって、修羅場という雰囲気ではありませんでした。この部分の、情念がコングロマリッドした内容にならず、この人が矢口君の、というスタンスで日高さんがいたのが本当に奇跡のような展開でした。これでくんずほぐれつのキャットファイトに移行したらどうなるんだろう、というゲスっぽい気持ちもありはしましたが、基本的に宮尾君と同じで喧嘩になるんじゃねえか、という視座が基本でしたので、わりとハラハラではありましたけれども。というか宮尾君は別に気にしなくていいのに気にしてて、お前いい奴だな。
 大野さんと矢口君の睦みあいは、家出した大野さんを探して、そして見つけた矢口君が一緒のホテルに泊まる。と書くとエロスか!? と思いたくなりますが、知っての通り、今はもう高校生なのに矢口君は大変なゲームバカなので、欠片もエロイ事には向かいませんでした。矢口君の、高校生特有のもやっとしたのは、全部ゲームで解消されてるんだな、と思うのが妥当なのか。でも、エロしたくないの? とか思いますが、まあ矢口君だし。ホテルで男女二人で暇だからと言ってゲームやりだす奴だしね。大野さんが帰れないからという事で一泊ホテルを予約したお母堂様にもバカだからエロイ事するとは全く思われてない辺りの信頼度も納得のゲームバカです。そんなバカに、大野さんは一体どういう想いを秘めているのか。黙して語らず、ですがしかし、寝てしまった矢口君に対する視線というのは、その、良い物ですね……。
 次巻への引きも大分良かったので、早く続き読みたいです。矢口君は、日高さんは、そして大野さんはどうなってしまうのか。なんだか一世一代の大勝負になりそうな矢口君と日高さんは、本当にどうなってしまうのか。気になりますね。にしても前は噛ませ犬乙だった日高さんが、ここまでのし上がってくるとはなあ。三角関係として成り立つ以上の物になったよなあ。矢口君が追っかけて、日高さんも追っかけて、大野さんはしかしこの場を去りそうで、ってのがまた。この関係がどうなってしまうのか。本当に次の巻が楽しみです。

*1:時代を感じる!脳天直撃瀬がサターン!