感想 221 『真子さんとハチスカくん。』1巻&2巻

 大体の内容「恋する乙女は当然可愛いのです」。真子さんがハチスカくんに恋する様を見る漫画。それが『真子さんとハチスカくん』なのです! と単純に言ってしまいますが、その真子さんは、表紙画像をご覧になれば分かりますように、一つ目少女です。単眼子なのです。対するハチスカくんも猫耳生えてて人間じゃねえ! ですが、この漫画は基本的に人外の人しか出て来ない、そういう世界観の漫画です。1巻途中で出てくるミウさんも口裂け女ですし、2巻途中で出てくる卯月さんも兎の神でウサ耳少女です。そういう世界観です。そんな中でラブってコメる漫画、あるいは真子さんがあわあわするのを初々しいなあと眺望する漫画。それが『真子さんとハチスカくん』なのです。
 単眼子、とはいってもこの漫画の画調はリアルタイプではなく、所謂萌えっとした、ゆるっとした画風であり、それゆえに単眼子であるというのがマイナスイメージとしてそれ程こちらに迫ってくる事はありません。むしろ、単眼だからこそ萌える! というある種の倒錯感すらあります。しかし、この漫画を読んでいけば行く程、単眼であると言うことがどれだけの問題であろう、と言う気持ちになってきます。単眼であろうがなかろうが、真子さんはいい子であり、可愛いのです。最初は倒錯込みの可愛いでしたが、そう思うようになると、途端に真子さんに対する感情に裏返りが生じます。それもまた、倒錯からの延長線上ですが、しかし、やっぱり真子さんというパーソナリティが可愛く、好ましいのです。この子が幸せになって欲しいなあ、という気持ちが、だからよりもりっと湧いて出てくるのです。ことここに至って、単眼はむしろ可愛い要素として立ち上がってくる訳です。
 そんな可愛い真子さんなので、皆が色々構ってしまう、あるいはいじってしまうというのも無理からぬ事です。特に惚れられている相手であるハチスカくんなどは。その辺を理解しているのかして無いのかで言うとあんまりしてないがゆえに、真子さんの挙動不審や一挙手一投足にいじりを加えているのが印象的です。ハチスカくん本人としては悪気はないけどいじりたい気持ちはある、というのが端々から見えるその行動に、真子さんはひゃあああ、となってしまうのがこの漫画の基礎系。そこにミウさんや卯月さんが加わっても、やっぱり真子さんはいじられ役。でも、ミウさんと卯月さんは真子さんの事を応援する意味合いでもやっているので、真子さんも邪険に出来ないし、という形に。こういう風に仲のいい友達ってのはいいなあ、と言う風にも思わされます。愛があるって重要よね。
 さておき。
 にしても、ハチスカくんは真子さんの事を実際どう思っているのだろうか。というのがこの漫画において最重要ファクターですが、これについては中々分かり難い。そもそも、ハチスカくんは猫耳少年かと思ったら実際は鵺であり、ゆえに心情が全く分からないんですよね。真子さんがあれだけ分かりやすく見えるモーションというか行動というか挙動不審をしているのに、当のハチスカくん本人はからかい甲斐があるなあ程度で相手してるように見える。そこがまたやきもきとする部分ですし、そこがはっきりし過ぎるとこの漫画の駆動系があっさりエンストかましてしまいそうですけれども、でもなんというか、このモテ野郎爆発しねえかなあ……。という嫉妬心がフツフツと湧いてくるのです。この気持ちはどうしようもないのです。それだけ真子さんが可愛いからなのです。その真子さんをあんな風に構っているようで突き放しているようでな、まさしく鵺的な扱い方をしているのが、嫉妬心を煽るのです。それでも、果敢に攻めたり攻め切れなかったりあわわったりする真子さんが本当に可愛いから更に嫉妬心が爆裂しそうになるのです。ああ、考えるだにハチスカくんが妬ましい。そんな気持ちになるのを押さえられないのでした。
 最後にキャラ的な話をすると、皆チャーミングですヨネ。真子さんは小動物可愛いし、ミウさんは見た目怖いけどのギャップタイプの可愛さですし、卯月さんは愛しの彼(ウサギ)とのラブラブっぷりが可愛いし。特に卯月さんは偶に思いっきりメスの顔になるので大変好きです。やっぱり愛しい人の事を想う女の子は美しいですよ……。
 とかなんとか。