感想 ストロマ 『くらまちゃんにグイってしたらピシャってされた!』1巻

 大体の内容「くらまちゃんと友達に、なれるのか?」。喜多尋夢さんの隣の席の小音くらまちゃんは、友達いない子っぽい。結構人と壁を作っているそんなくらまちゃんと、能天気突撃系喜多さんは友達になれるのか? それが『くらまちゃんにグイってしたらピシャってされた!』の要諦なのです。
 この漫画は基本的にくらまちゃんと友達になりたいという喜多さんのお話で、そのなりたい欲が高まり過ぎて行動がおかしい喜多さんに進撃されるくらまちゃんの受難を見て、あるいは喜多さんの行動のくるくるぱー加減にげらげらする漫画であります。その行動がコメディの源泉になる喜多さんのそれは本当にポジティブにおかしく、本気なんだけど攻めすぎです。なぜか親愛棒という名のふ菓子を無理やりくらまちゃんに食わせる辺りは本当に何を考えているのか分からないというか暴走し過ぎなんですね。女の子に長い棒を食らわせるなんて! という酷い言葉も自然と口に出てきます。あれはいったい何なんだろう。何故ふ菓子だったんだろう。趣味のお菓子作りから、それが出た理由が割と知りたいです。
 そんな訳で、喜多さんが、それもこの漫画の始まりの一発目からフルスロットル飛ばしてるので、流石にこれはウザいにも程があるのでは、という風に見えます。対するくらまちゃんも大変うっとうしく感じている場面もあったりするので、普通にその手悪しゅうございます。というレベルな訳ですが、それでも、結構邪険にされても喜多さんはくらまちゃんに構う事をやめません。そのモチベーションはどこから、というのは3話で明らかにされます。簡単に言うと一度は諦めかけたが故に、更に思いは募っているという事でありまして、それはぞっこんになってもしょうがないな、という想いに囚われてしまいます。それがあるので、喜多さんの突飛な行動にも一定の納得が生まれて、でもやっぱりちょっとやり過ぎじゃねえの? という気持ちにも都度都度されて、それがきっちりコメディとして立ち上がってくる。ぱっと見ふわっとしたこの内容をきっちりと仕上げてくる様はまさにタツジン! とか思ったり。
 さておき。
 その上で、くらまちゃんが友達を作らないようになった理由がしっかり明かされるのは重点的に語りたい所です。この話がここで挿入されるという事は、そんなに長く続けないつもりなのかという邪推も働きますが、そもそも友達になるならないというふわっとした部分がこの漫画の主である為、長く続けるのも難しいか、とも思えます。それゆえの短期決戦かしら。というのは置いておいて、この話、くらまちゃんが友達を作るのを避けるようになった話が、くらまちゃんの口から喜多さんに告げられた事がやはり重要でしょう。この巻の間で、くらまちゃんが喜多さんにどういう思いを抱くようになったかはほんのりとしか分かりませんが、しかしきっちりこの話をしたというのは、それも幼馴染の錫さんと喜多さんだけに、というのは、結構大きいと言えましょう。一方通行で若干ウザい喜多さんでも、それが悪い気持ちから起きている行動ではない、本当に友達になりたいから、というのは通じているのかなあ。そう思うと、今までのウザ行動に対しての評価が一転してくるから不思議です。もう一度見るとやっぱりこれはウザいなと思いますけど。それでも、出来れば、この二人が本当に友達になりますように、とか思ってしまいます。そして友達って何だろう。そんな気持ちが励起してきたりも。その一つの回答が、この漫画の最後には待っているのか。その辺も楽しみにしたい漫画です。