感想 あらたまい 『巴マミの平凡な日常』1巻

巴マミの平凡な日常 (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

巴マミの平凡な日常 (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

 大体の内容「無残! 三十路を迎えた巴マミ!」。どういう運命のいたずらなのか、見滝原の魔法少女が皆生存して、魔法少女という言葉がもう既に厳しい形になり、皆それぞれの生活を送る格好になっている中でのマミさんを重視したお話というかその生態というか、それが『巴マミの平凡な日常』なのです。
 魔法少女物には三つの極、つまり年齢の限界、性別の限界、残酷の限界があるとねつ造しますが、その残酷の一つの際だった『魔法少女まどか☆マギカ』のそっちの限界がスルーされて、代わりに年齢の限界、際としてのアラサーという事実がじとっとのしかかっているのがこの漫画であります。とはいえ、マミさんの喪女、干物女っぷりはある意味で残酷の限界を限界突破しておるように見受けられました。ちょっとどこか虎眼流の牛股面でむーざんむーざん言いたくなるくらい、マミさんのその存在と言うのは無残であります。どうしてこうなった、どうしてこうなったんだよ!
 他の元、まあまだ魔法少女にはなれるようですが、魔法少女の面々は、それはそれでちゃんと結婚したり彼氏がいたり子供がいたりと、ちゃんとした人生を謳歌されておられるのですが、マミさんは彼氏無し、派遣社員、そして家ではジャージ(中学の)姿という、パーフェクト干物女であり、その何気ない日常と言うと聞こえはいいけど、実質は駄目生活がつらつらと描かれるのがこの漫画です。カバー下のおまけでカップ麺の食べ比べしてただけ、という内容で、この漫画の基礎がしっかりわかるんですがこの基礎でいいの!? って感じも受けました。まどマギ二次創作的な側面、そういうフックが無ければ、普通に連載出来ないし人気も出ないんじゃねえか、ってレベルで酷い。『花のズボラ飯』並にフックが無かったらやばいだろ感満載です。というか、よくこの漫画オッケーでたなー。そして、マミさんならこうなってしまうのも納得出来るかな、という風に思わされるのも酷い。ダイエットしようとしてランニングするけど、結局走ってお腹すいたからって肉食って太るとか、ソウルジェムを排水溝に流してしまって家から出られくなり、食糧が、と思ったら丁度義理チョコがあってそれを、とか、極めつけは魔法少女現役なんですか? ってひかれたり。なんでや、原作では色々頑張ってたやんか! 友達いねーぜ! だったけど! 大体の二次創作において酷い目に遭う傾向があるマミさんですが、それの一つの極限というか、極限過ぎて見てはいけない物として屹立している漫画であるようにも思えました。本当に、どうしてこうなって……。
 マミさん以外の話をすると個人的にはほむらさんがまどかの弟と結婚しているのが個人的にツボでした。物凄い玉虫色の決着を見た思いです。年齢的に落ち着いたけど、でもまどかとお近づきではいたい、という黄金の精神のような漆黒の意志ようなものを見せつけられたと言いましょうか。ある意味一番たちが悪い、叛逆の物語の結論より酷い結論じゃねえかそれ。マミさんの現役な事実よりも実際恐ろしいのでは。流石と言うべきかもしれないけども、ちょっと怖い!
 とかなんとか。