感想 あfろ 『魔法少女ほむら☆たむら 〜平行世界がいつも平行であるとは限らないのだ。〜』3巻


あfろ 魔法少女ほむら☆たむら 〜平行世界がいつも平行であるとは限らないのだ。〜 3巻
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「あるいは、悪魔ほむらさえ超克するのかも」。『魔法少女まどか☆マギカ』世界の平行ならざる世界をまたに掛け過ぎて、いつの間にかそんな名前じゃないのに<たむら>が定着してしまっているほむらさんの日々の頑張り。それが『魔法少女ほむら☆たむら』3巻なのです。
 1巻、2巻と常にビルドforスクラップ。この一回のだめだけに建て、そして崩す。そういう亜空の建築模様を見せてくれたほむたむも、3巻で終了の運びとなりました。そもそも一回で終わらせるネタを連打しているので、やめようと思えばどこでも出来るのよ! というしゃっつらであり、つまり3巻出ないで終わるもあり得る、というある種恐怖もありましたが、ちゃんと3巻出てくれて、それで満足するしか、ないじゃないか……。と鬼柳京介顔に最初はなっていましたが、最終的には、へえ、やるじゃないの。という顔になったので、さすがあfろ先生であるなあ、と思いました。(小並感)
 この巻も、基本的には一話でネタを建築して崩し切るというビルドforスクラップの妙味があります。今回だと22話『プリズンキュウべえの時間軸』と27話『見滝原国の時間軸』が大変良かったです。
 前者『プリズンキュウべえの時間軸』は魔法少女にならない魔法少女候補を囚人として監獄へぶっこみ出たくば契約を、という時間軸。もう既に平行世界というのから逸脱し過ぎている感があるのが最高です。常に平行とは限らないにしてもこの角度だと直角になります! という感じとでも言いましょうか。つかなんだプリズンキュウべぇって。ネーミング直截過ぎるだろ! そして話は脱獄に当然なり、それはあっさり、なんですが後日談がちょっと酷くて素晴らしい。色々と台無しです。でも、この時間軸だとまどかを魔法少女にしないが成立しているのでは? とも思えます。って、そもそも話の方が無茶だからノーカン! ということかもしれないですが。
 後者『見滝原国の時間軸』は、見滝原が国単位に、ぶっちゃけ日本が見滝原国になって、見滝原で起きる出来事が日本各地で、ということでほむらさんが四苦八苦する話です。これもまた直角にぶっこまれた平行世界でして、実際に見滝原のどこで、というのが広くなりすぎてほむらさんが捕捉できない! ていうかどこなの!? と、交通手段を使って彷徨う流れから、いくらなんでも魔法少女の移動が速すぎるような気がする、と読者が思い始めた所に、実は、と種明かしをされて口に含んだ水が噴出する内容をぶっこんできます。本当もう、あfろ先生ったら! 好き。でも、それだけでは終わらず、ほむらさんが可哀想だけどちょっと可愛い展開も盛り込まれており、油断が無いな、と思わされる回でもありました。
 さておき。ここである種可能性を秘めた最終回の話をしましょう。
 最終回は、まどかさんを時間軸の狭間にさらってきた、という、え、それありなの!? という流れから、まどかの様子が今までのまどかさんのそれではなく、何もかも知っている、そんな雰囲気が、というので、そのまどかさんがいわゆるアルティメットまどかさんだ、という話に。
 それから、もう助けは要らないんだよ、というまどかさんに、そんなことで納得できるか! とほむらさんが言いのけるのですが、その辺がこじれると悪魔ほむらになってしまうのか、とも思うと、ここで諦めても良かったのでは、とも思ったり。しかし、それ以外の可能性もまた、あるのかもしれないという希望のようなものも、そこにはあるのかなあ、と勝手に解釈してしまったりします。果たして、ほむらさんは理想のエンディングを、悪魔ほむら以外で、この後迎えられるのか。そういうことを考えてしまう最終回でした。うん、こういうのもまたいいな。
 とかなんとか。