『ゆるキャン△』アニメの前に知っておきたいあfろ漫画三選

初めに

 レディースアンドジェントルメン!! 皆さんいかがお過ごしだ!
 高めのテンションで導入しますが、このたびあfろゆるキャン△』がアニメ化するという報が飛び込んでまいりましたのことよ。なので、その嬉しさをばねに、今ならまだ間に合う! 一緒にあfろせんせ作の漫画の園に飛び込もう! という謎のエントリーがここに爆誕しました。今見なくて、この後ついてこれなくても知らないよ!
 と言う冗談はさておき。あfろせんせのファンを自認するわたくしをして、『ゆるキャン△』は確かに素晴らしいと当然言わしめます。しかし、それ以外の作品が全く劣っているということは決してないッ! と思っていただこうッ!! という、つまりもうちょっとあfろせんせの噂のフォークデュオ・チメイドが上がったらいいなと思ったのですよ。とはいえ、今までそう思っていたけど、それを全面に出したエントリーとか書いてませんでした。あまりに自明のことゆえ、深く考察する事が無かった、という不覚であります。
 しかし! このたびのアニメ化の報! これをもってこのエントリーを書かなくてはならないという大使命感に苛まれ、今ここに、それを記すと誓うのであります! やったるで!
 前置きが長くなりましたが、とりあえずあfろ作品についてのレビューというか感想というか妄想というかを、三作品、書いていきたいと思います。どれも珠玉の逸品ですぞ!

『月曜日の空飛ぶオレンジ。』


月曜日の空飛ぶオレンジ。 1巻 (まんがタイムKRコミックス)


月曜日の空飛ぶオレンジ。 2巻 (まんがタイムKRコミックス)

 まず、まんがタイムきららミラク初掲載の単行本処女作、『月曜日の空飛ぶオレンジ。』です。全二巻。
 この作品によって、私個人は完全にあfろせんせの虜になってしまいました。最初の頃は月曜日を日曜日と、つまり題名間違えて覚えてたけどな!
 そういう個人的な失態はさておき、どういう話かと言いますと、どこかにある島の女子高生たちの毎日、という話です。所謂日常系ですが、ミラク誌でのコメディ部門を強く担っていた、と言えばどういうのかはあらかた分かろうかと思います。が、甘ェ! あなたの想像より遥かに、確実に、へんてこな漫画のですよ! ハイパーン!(机打)
 この漫画はコメディ漫画ですが、方向性としてはSFコメディといってもいいです。S(凄まじく)F(ファンキー)です。すこしふしぎの方がまだ近いSFタイプですよ。謎のうらなりびょうたん(姿が)なツカぽんの存在とか、ななみさんが引くと何かが落ちてくる謎紐とか、すいかの自販機とか、植えられた信号機とか。
 変な、ではなく、おかしいでもなく、不思議とも違う。まさしくへんてことしか言えない、とにかくへんてこな漫画。それが『月曜日の空飛ぶオレンジ。』です。そこではへんてこなことが起きて、へんてこなオチに向かっていきます。そういう、へんてコメディ。などと、その気になっていたお前の姿はお笑いだったぜ。
 この漫画がわたしに引っかき傷を残していまだにミラク最上位の漫画と思わしめるのは、単にへんてコメディなだからではありません。基本的にはそこでいいんですけれども、メインプロットのようなサブプロットのような、とにかく2巻完結ゆえにざっくりうっちゃられてしまった、そういうこの漫画の裏面というのが存在するのです。ななみさんの引く紐の、その意味とか、本当に最終回が迫ったせいでうっちゃられてもっと見たかったよー! だったりします。本当にもっと見たかった。
 とはいえ、そこも脳内で補正かけて楽しめます=上級者向けなんですが、それよりはちゃんと収まったヨシノとその兄との関係性の話をしましょうか。これも、見てください! という案件です。
 軽く要約すると、ななみさんの紐引きのせいで50年前にタイムスリップしてしまったヨシノ兄が、バイクと一封をヨシノに残していた、という話なんですが、これだけの話なのにじっくりと四話かけてやっていたり、ヨシノの「おとし穴 あると思う」から実際にあってからの「バカめ」からの本当の一封の流れがふつくしい……。というレベルで決まっております。単にへんてこなだけじゃねえんだぞ! という気概に満ち満ちていたのです。この辺の感情の推移とかが、『ゆるキャン△』でも脈々とあるというのはそれ程穿った見方ではないかと思いますよ。この流れの美しさを見る為に、買って、見てください! とシャクティ顔で言いたいところです。

『シロクマと不明局』


シロクマと不明局 1巻 (まんがタイムKRコミックス)


シロクマと不明局 2巻 (まんがタイムKRコミックス)

 作者単行本シリーズ二作目。全二巻。『月曜日の空飛ぶオレンジ。』終了からわりとすぐ始まったシリーズ。
 お話としては、高校生活に胸踊らせていた次のページで死んだ熊本さんが、あの世でもこの世でもない、煉獄でつつがなく過ごしたり若干百合ったりする話です。要約すると本当にこういう話ですが、要素としては『月曜日の空飛ぶオレンジ。』より妖しの世界方向。なにせちゃんとした意味で煉獄でのお話ですからね。ちゃんと誘い水はジャック・オー・ランタンがやっているんですし、まあその世界観が色んな時代の色んな人が混ざったせいで煉獄とか言ってるのに閻魔様がいたりする、単に某唯一神世界観だけじゃないのがまたテクニカルだったりするんですが、それはさておき。
 この漫画はまたへんてこです。あfろ漫画と言えば、な事象なので当然です。しかし、上記のように下地がしっかりとしたファンタジーなあの世でもこの世でもない場所。だからこそ野放図に出来る場面を、きっちりと範囲が広くなり過ぎないように、野放図になり過ぎないようにと、やった漫画がこの『シロクマと不明局』だと言えるでしょう。いや、まあ、何故か西部劇的な場所があったり、信長が焼肉チェーン作ってたり、バイク免許の教習所のワイルドさが凄かった、かと思ったら唐突に因縁バトル展開が入ってきたりと、出来る範囲の野放図さを制御できているのが不思議なくらい振れ幅がある漫画でもありますが。
 個人的にこの漫画の見どころは人物の描写がちゃんと統御されたものだった、というのでしょうか。キャラクターとしてきっちり立ちつつ、でも役割の為の存在ではない、というのでしょうか。色々ネタはあるけど、そこにちゃんと生活感があるのがいいんでしょう。その上で、役割的な部分もちょくちょく見せてくる時のバランスの良さもやはり特筆したいところです。特にマリーちゃん(勿論のようにマリー・アントワネット)が幼い! というキャラ付けと、そのキャラ付けの意味するところの、何故他の人よりマリーちゃんだけ幼いのか、とかがしっかりと布石として打たれている。
 これですよ。この味ですよ。この独特の風味! 因縁バトルのところもまた色々と内容が含有されて、大変旨し。
 とはいえ、この漫画もバタバタして終わってしまいました。そういう意味ではもうちょっと見たかったはありますが、熊本さんの因縁とか、熊本さんとあるキャラの百合っぽい関係とかの伏線の回収はちゃんとされており、一作としての満足度は個人的マストの『月曜日の空飛ぶオレンジ。』より高いまであります。単行本で最終回についている掌編で一気に漫画が綺麗に閉じたのも印象的でした。でも、もっと煉獄生活見たかったなあ。単に仕事だった配達人してただけでも面白かったし。その辺は常に思ってしまうことですが、好きなので余計に、ですよ。

魔法少女ほむら☆たむら 〜平行世界がいつも平行であるとは限らないのだ。〜』


魔法少女ほむら☆たむら 〜平行世界がいつも平行であるとは限らないのだ。〜 1巻 (まんがタイムKRコミックス)


魔法少女ほむら☆たむら 〜平行世界がいつも平行であるとは限らないのだ。〜 2巻 (まんがタイムKRコミックス)


魔法少女ほむら☆たむら 〜平行世界がいつも平行であるとは限らないのだ。〜 3巻 (まんがタイムKRコミックス)

 作者シリーズ三作目。『魔法少女まどか☆マギカ』のスピンアウトといえる漫画です。まんがタイムきららマギカで連載されていた作品。全3巻。
 大体の内容というと、まどマギ世界のタイムリーパー、暁見ほむらさんが修羅となって平行世界を攻略していく漫画です。と書くと物騒ですが、基本的に毎度シリアスをロックボトムしてロックボトムしてピープルズエルボーして出来たおかしな平行世界で、ほむらさんが翻弄されたり翻弄されたり叩き伏せられたりしながら奮闘するコメディ漫画です。
 この作品は、先の二作に対してきっちりと原案というか原作があるという状態な漫画なわけですが、その縛りがある、だからこそだろうが! とコミックマスターJ顔でまどマギの世界をどこまで崩せるか、しかしそれでもまどマギの世界でありえるか、という思考実験の場になっていた感すら漂う一作です。
 どこまで崩したか、というと巴マミさんが世界を支配する世界だったり、原作の舞台、見滝原が日本全土になっている世界だったり、魔法少女はバイク乗りの世界だったり、ロボだったり、と本当に、まどマギの枠は強いのー! と叫ばざるを得ないレベルでの崩し方でした。これを、毎度一回で作り上げて一回で壊す。便宜上ビルド&スクラップと呼びたい、そんな所作。ネタとして飛ばしているのに、それを一回で使い切るという、そんな所作。それがほむたむの素晴らしさであり、また得難い存在であるのです。もう二度と、こんな無茶な作戦に加担する人はいないだろう、と言う意味で、貴重です。
 個人的に好きなのは最終回です。是々非々で見てください! と再びのシャクティ顔なのですが、軽くネタバレするとアルティメットまどかとほむらさんの絡みが見れる、というのと、それなら劇場版の形ももしかしたら覆されるかもしれない、と思えるのが素晴らしいのです。ほむらさんが、悪魔ほむらに堕ちない世界。それがあり得るかもしれないと思わされる、そんな最終回でした。本当にまどマギ見た人にはこの漫画のコメディ力の高さに翻弄されながらも最終回にたどり着いてほしい。そう思うくらいにいい漫画なのですよ。まだの人は、ぜひ。

終わりに

 ざっくと書いてみましたが、思った以上に自分の中であfろせんせに対する内熱が溜っていたのが分かりました。こういう機会でもないと書いたりしない内容ですが、常々このように思っていたんだなあ、と。あfろせんせの漫画は面白いんだ! 『ゆるキャン△』もいいけど他のもね! というんが、今回のエントリーで書けたかな、と思います。個人的に書いてすっきりしたので、それだけでもう成功ですよ、この文章。そして、『ゆるキャン△』アニメ化を機に、あfろ漫画に触れる人が増えることを、祈ってしまいます。『コミックマスターJ』の名言を借りるならば、

 売れている漫画がいい漫画とは限らない。
 だが、いい漫画はいい商売になる。

 というのを感じさせるものに、アニメ共々なればいいなあ、とかなんとか書いてこの項を閉じたいと思います。