ネタバレ感想 宇城はやひろ 『暁美ほむらは明日から頑張る!』


暁美ほむらは明日から頑張る! (まんがタイムKRコミックス)

大体の内容「ほむほむ、あえて寝る!」。ということで、今まで鹿目まどかの為に頑張りに頑張ってきた暁美ほむら、ほむほむはついにそれが限界に達してしまいます。なのでその自分を癒す為に自堕落な生活に突入する。それが『暁美ほむらは明日から頑張る!』なのです。
魔法少女まどか☆マギカ』のスピンオフから続編まで、ほむほむは大体頑張っています。叛逆の物語とか、魔獣編とか、たむらとか、あるいは頑張った甲斐があっての平凡なのとか。とにかく頑張っています。そんなほむほむが、その頑張り過ぎによって疲弊してしまって自堕落な生活に溺れていくのが、この『暁美ほむらは明日から頑張る!』だったりします。その自堕落ぶりは初手からこたつから出られない、という話で実感できます。なんとかこたつはぶっ飛ばしたものの、外はからっ風だったので、近くにいた魔女は無視してセルフコントロールする二段構えな辺りも素晴らしい。そしてそのオチも。その魔女がワルキルプスの夜だった、からの次の時間軸で頑張ればいいわ。という。まさしく明日から頑張る! であります。
そんなわけで基本ギャグ漫画ですが、個人的に好きなのはいつものように時間を止めたと思ってまどかさんの髪の毛クンカクンカしたりしてたら、実は時間止まってない! 時間停止の奴をキュウべえが! という導入の回。いつもあんなことを……。とまどマギの闇を見るものがありましたが、秀逸なのはそこだけではなく、そのオチ。いつものように金がなくなった(それがいつもの、なのもどうかですが)ので、ここは仮死状態になって時間を潰すわ! と、キュウべえに作らせた生命維持ポッドで仮死状態になるほむほむ。しかしワルキルプスの夜はいつもより早く襲来。そして地球は崩壊し、ほむほむはそのポッドのまま宇宙へと流れていくのでありました。という驚愕のものでありました。それから次の回に何も理由を語られず元に戻ってて更にアイエッ!? ってなりましたよ。流石に仮死状態且つ宇宙じゃもう戻れないんじゃあ!? というのは単行本のカバー下でフォローがされているので、気になる方はちゃんと見てあげてください。
さておき。
きららマギカが終了するどさくさで連載されたこの漫画ですが、その最終回もまた中々に印象的です。いつもは死ぬしかないじゃない! なマミさんがその回では年長者として、先輩としてきっちりとほむほむを自堕落な生活から動き出させるという仕事をするのも見所ですが、最後にこの漫画の題、明日から頑張る! が後ろ向きから前向きにシフトする、という手管をされたんですよ。おお、そこで裏返るか! という。この印象的な反転は、やはり狙っていたんだろうなあ、と。今まですぐに自堕落になっていたこの漫画のほむほむが、それを一転させる、というのがしっかりと効いてきていて、本当にいいものであるのです。このほむほむならあるいは悪魔落ちしないのかも、とも。そう、あの悪魔落ちだけがまどマギの転換点じゃないんだ! と言っているように感じたのです。たむらといい頑張るといいえんがわといい、ギャグの方向のがあの悪魔落ちを乗り越えるのでは? と思わされるのがなんとも面白いことです。あるいは、そういうのが導入されて変わる話になるのかも、とか希望しつつ、この項を閉じたいと思います。