感想 余湖祐輝 他 『ニンジャスレイヤー』5巻


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ニンジャスレイヤー(5) 〜ワン・ミニット・ビフォア・ザ・タヌキ〜<ニンジャスレイヤー> (角川コミックス・エース)
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 大体の内容「ダイダロス! そしてサヴァイヴァー・ドージョー! 死闘二連発!」。ドラゴン・ゲンドーソーに打ちこまれたアンタイ・ニンジャ・ウィルス「タケウチ」の解毒アンプルを求めるニンジャスレイヤーと、ソウカイ・シンジケートを追うナンシー・リ―。二人の思惑が交錯する中、会合場所のIRC空間にダイダロスが! という導入で始まるのが、『ニンジャスレイヤー ワン・ミニット・ビフォア・ザ・タヌキ』なのです。
 初手のダイダロス戦で、ダイダロスの不気味さ、ニンジャの力を利用した多重ログインの恐怖をしっかり叩き込んで置いて、この巻終盤の並みいるダイダロス、というのに説得力を持たせる様は流石です。ダイダロスが大量にいる! というのを文章ではなく絵で表現する、という為の最初の布石からきっちりと異常な多重ログインを見せつけられ、その絶望感というものがしっかり出ておりました。文字では表現出来ない部分だからこそのちゃんとした補間であります。そしてそれでも立ち向かうナンシーさんは気高く、雄々しいとすらいえて、だから電子の嫁にするというダイダロスの気持ちも分からぬではないものがありました。ナンシーさんかこいい。最近の本家ではなんか知らんが、面倒見がいいのがあるにしても、おかんイメージが自分の中で醸成されてて、かこいいという感じではないのでしたけれども。というか、フォレスト=サワタリの大将にもダイダロスにも、ってナンシーさん男難の相でもあるんでしょうか。両者とも圧倒的問題児。それに仕事のパートナーも厄ネタだしなあ。とはいえ、戦う女性は美しいし、金髪のコーカソイドというだけで珍しいらしいので、そりゃ嫁にしたいわな。とも。それも、能力面からと外見面から、というぱっと見た目で判断してるのがダイダロスとサワタリで、内面の強さを、はニンジャスレイヤーが認めてる、というので中々込み入ってるな、ここの関係。
 さておき。
 この巻の肝はダイダロス多重ログインの恐怖もですが、サヴァイヴァー・ドージョー戦も恐怖に当たります。バイオイアイドも強かったし、サワタリも強かった。わりとギリギリのラインでの勝利というか、フォレスト=サワタリの大将の生存能力の高さが浮き彫りになる回でもあります。致命的な一撃を寸でで避けるその生存感は後々禍根になりそうですが、そこで逃げるサワタリを追わない、と選択したニンジャスレイヤーの自制が大きい。殺忍衝動を、寸でとはいえ抑えられるようになった、というのが大きいですよ。この漫画の一話のマシン・オブ・ベンジェンスであっさりナラクに体を預けてしまったのとは、やはり差がありますね。それに、サワタリですら、獣のような殺意があっても勝ち目のないイクサをしない、という部分と、ニンジャスレイヤーは、と言う部分がいい感じで対比であったかと思いもます。この辺りは漫画だとよりくっきりと映えるものがあります。これから、ニンジャスレイヤーはどうなっていくのか。知ってるけど、それでもどう表現されるかが気になる部分であります。