キョウスケはそんなこと言わない

 瀬戸の花嫁再注文する。確認のメールガ来る。
 来るのが、二ヵ月後の九月になるそうだ。
 ……。

 吐き気をもよおす『邪悪』とはッ
   なにも知らぬ無知なる者を利用する事だ……!! 自分の利益だけのために利用する事だ…
  バイヤーがなにも知らぬ『客』を!! てめーだけの都合でッ!
    ゆるさねえッ! Amazonは今 再び オレの心を『裏切った』ッ!

 ぶち切れ金剛。ついかっとなってアニメイトに行く。ついでに「足洗邸」を買おうとするも、ない。
 ない。
 ない。
 ないーっ! どっちもないーっ! なんたるちやー!
 と、いつもならここであきらめて帰る所だが今日の私は小さじ三杯位違った。アマゾンに裏切られた怒りを力に変え、鵜の目! 鷹の目! と店内をくまなく探す。
 だが、「足洗邸」はない。いやある。通常版がある。だが、駄目だ。限定版。限定版を買いに来たのだ。それではいけない。だから探す。探し、探し、そして気がつく。
 上。
 そう、アニメイト岡山店の上にはメロンブックス岡山店があるのだ。ここは意外に穴場である。アニメイトと同じオタ系ショップであるから、限定版は結構置いてあるが、下で大体済ましてしまう人が多いのか、見忘れるのか、単にあがるのが面倒なのか、それはさておき、そういうのがわりと長く残っている事が多々ある。それを思い出した。
 だから上。
 上る。上り、また鵜の目鷹の目。獲物を狙う、猛禽の目である。すぐにその威力の程は発揮される。つまり、見つかる。心中で歓喜の歌が流れる。逃さず狩った。
 勝利の余韻に浸る間もなく、次の獲物を求め、下に。「瀬戸の花嫁」。これこそ、今日の大目的。この仕儀が終わらなければ、今日は、終わらない。
 なので、探す。三度、鵜の目鷹の目。DVDコーナーを見て回る。
 新作置き場に無い。出たてだから棚挿しもない。確かにそうだ。だが、ここだけが新品置き場か? もしかしたら違うかもしれない。なのでもう少しDVDコーナーを精査する。
 あっ!
 「新作」の文字が目に留まる。
 コーナーがもう一つ。面陳でない場所があった。ここだ。あるとしたら、もうここしかない!
 そして、ついに。
 今度こそ本当に目に留まる。
 あった。
 あった!
 間違いなく、紛れも無く、「瀬戸の花嫁」のDVDがそこに鎮座ましましている。
 迷いなどかけらも無い。すぐに手に取った。
 その充実感といったら……。曰く言いがたいとは、まさしくこのことだ。
 すぐにレジへ。夕暮れ時&明日は休日な為か、異常な込み具合。だが、そんなのはどこ吹く風。待つ時間さえ、何も苦に感じない。むしろ愛おしくなる位の満足に浸っていた。
 アニメイトのお約束であるアニメ放送を眺めてみれば、藍蘭島などが流れていて、ぱなこさんぱなこさん。とか何とか言っている内に順番が回ってくる。
 その時になって、ピンクの紙の記述に気が回った。すたんぷかーど?
 どうやら、初回版を全部アニメイトで買うと、ボックスがついてくるという仕様らしい。
 ……。

 俺はアマゾンで買うのを止めるぞ! ジョジョーーッ!

 意外と差額が大きいけれど、手に入らないで嘆く位なら、多めにお金を使ってでも手に入れるほうがいい。そう思った。
 というわけで、久しぶりに充実した買い物だった。そんな一日。