感想 勝間和代 『読書進化論 人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか』

 読書の話が主体かと思ったら、書くのとか売るのとかまで入ってまして、ならお得かと思いきや、どれも知名度を上げる方向性の話なので、そういうのが限りなくどうでもいい人間には限りなくどうでもいい無いようでした。開幕から著者の書いた本の名前及びそれの略が付いている時点で、どういう本か分かろうという物です。新書名前買いでは失敗はつきものですが、それでも緊縮財政の今には厳しいダメージであります。特に序盤の内容の無さと謎のマンセー文の挿入は、買ったことへの後悔を募らせるに値する駄目さでした。というか、あれ読みやすいのだろうか? 私は駄目だった。とにかく読みづらかった。話がいきなり分割されてしまうので、本文の内容がすっぽり抜けるし。なんだろう、コメント欄みたいな扱いなのかなあ。やっぱり、本にするとああいうのは向かないって良く分かるものだ。絶対無いけど、反面教師。
 で、一番気になって買った読書の話が、ぜんぜん自分の求めた方向――特に為にならない方向の、でもどこか無駄に求道的な――ではなく、ビジネス書とかの類の、要するに為にするタイプの読書の話だったので、いきなりしょんぼりでした。「進化させる」とかは、確かにお題目としてはいいし、正しいのだろうけれど、その、なんかもにょる。有り体言うと「俺はどっちでもいいけど」です。それとどうしてかわかりませんが、浮かんできた言葉は「きもちわるい」です。きもいなんてもんじゃない。あれこそきもちわるいっていうのよ。ってアツコが言ってた。……違う人だったかもしれない。
 なんでこう、きもちわるいのか。あまりにもあいまいもこもこしてるので、言葉にしづらいんですが、それでもなんとか言うと、どうにも読書が全てプラスになる、ひいては世の全ての経験はプラスになるという思想が、どうもきもちわるい、と思ってしまいます。前向きはいいけど、僕は前向きじゃないのである。なので、それに合わせろと強請られているような感じを受ける、というべきでしょうか。確かに、大体のことは正に+に変換できるかもしれない。でも、それって本当は正に、+になる程度の負、−なんじゃねえの? という疑念があります。あたしが−にしかならない−を味わった事がある、とは流石に言えないんですけれど、どうしてもあげあげの人にはうがった見方をしてしまいます。そういうあげあげで最終的にイカレタ自分の、防衛作用なのかもしれません。
 後、謎の寄付システムがががが。怪しいというか、怪しいというか、ちょっとこれ怪しくないですか? 基本、寄付は眉に唾つける性質な私ですので、「大丈夫、勝間の寄付システムだよ」って情報求む。
 とかなんとか。