感想 川崎康宏 『ありすとBOBO −猫とマグロと恋心−』

 内容を要約すると、「マグロ! ご期待ください!」。冗談はさておき、これ、題名のありすという文言と川崎康宏の名前でピンと来る向きの想像通り*1電撃文庫で出版された『Alice』(感想)の続編というか、続きというか、とりあえず同じ設定同じキャラによる作品であります。出版社変わってるのはどういうことだってばよ! という辺りが最大のツッコミ所ですが、それはこっちが聞きたいくらいですよ。ホント、どういうことなんだろう。
 内容について書くと、禁輸されてしまったマグロ*2を主線として、その周りの小競り合いにアリスとボーボー(グリズル)がなし崩し的に関わって問題自体はあまり解決してない、という話。あるいは漁師つえー。
 基本、なし崩しという言葉が川崎康宏節におけるキーワードですが、今回もそれはご多聞に漏れません。アリスと名前が題名に入ってるのに、アリスの出番は、大体「こういうのが萌え萌えしていいんだろああん?」と川崎せんせが玄妙な笑みを浮かべながら書いただろう、鰯田某に照れ照れ状態と服選びの場面くらいしかなく、バトルは表テーマ「マグロ」に対してなんとなく打ち倒す以外はほぼボーボー(グリズル)が担当し、そのボーボーは今回の裏テーマ「中国」に対して当然のように力でも口でも勝つ展開となっております。力はまだしも、口でも日本かぶれのグリズルに負けた中国サイボーグはマジ哀れですが、それ以前にその部分書いていてこの展開おかしい!とか思わなかったんだろうか、という老婆心が発揮するくらい変な展開でした。これだから川崎せんせは読むに値するなー。

*1:といって、これでピンと来る向きがどれくらいの割合でいるか全く予想できませんが。

*2:何故かタイムリーなネタになってしまっているのが、今回の最大の笑い所です。