感想 みずしな孝之 『いとしのムーコ』3巻

いとしのムーコ(3) (イブニングKC)

いとしのムーコ(3) (イブニングKC)

 大体の内容。「ムーコとの愉快な日々は今日も過ぎていく」。時勢の流れが早い、というかあっという間に春になり、冬になります。そこはサザエさん方式? と思われそうですが、小松さんの職場をカフェと間違えた女性との交流などを見ると、時間は順調に過ぎているという見方が正しいかと思います。それがどういう意味合いを持つか、というのはまだ見えませんが、でも確実に時間は過ぎている。となると、当然別れの季節もやってくる。それがどうなるか、というのはまあ、そんな事は特に気にしなくても、いつも通りのムーコと小松さんの日々は楽しいものなのであります。今の所、それでいいんじゃないんでしょうか。
 さておき。
 今回もいつも通りと言えるムーコの頭の良い所と頭の悪い所がきっちりと。今回は最初の獣医に行く話がどちらもきっちり出ていて味わい深いです。この道はいつもの道と違う! 飽きさせない工夫ですね! と利口な事を考えていたりするけど、その道がどこに通じているか、というか獣医さんのとこ行ってるって気付かない辺りのバカさもある。この漫画のいい所が絶妙に出ている回であります。そして気付いたムーコの「だましましたねこまつさん・・・・・」が更に素晴らしい。難しい言葉知ってるな、ムーコ。でも、いつもの獣医なのに尻尾取られるとか思っちゃうバカさ加減も可愛い。今まで何度もやってるだろ! そういう部分の記憶は強くないのかしら。意外とさらっと終わってたから、喉もと過ぎれば、かもしれませんが。
 今回は、ムーコの嫉妬心が全開になる場面も。例のカフェと間違えた人に、小松さんがいいなぁ、とか言い出してずん崩れた顔になるのが、素晴らしく嫉妬心。あるいは単なる大ショック。未だに小松さんがいつか犬になるのでは? と思っているムーコなので、意外とメスとして小松さんのセックスアピールを感じているのでしょうか。全然そういうそぶりのある人じゃないのに。あるいは甲斐甲斐しく世話してくれて嬉しいからの発展なんでしょうか。女心すら分からないのに、犬心なんて尚更わかんねえよ!
 さておき。
 今回最後に収録されている基本無声の回は、今まで多弁だったムーコがそういうの無しだったらどういう風に見えるか、というのを提示してて趣深かったです。最後にどうしてテンション高かったか分かるわけですが、それが分からない状態だと意外と何したいのかわかんないもんだなー、とか。ムーコが頭いいだけに、余計にはてな? ってなりますね。そりゃ小松さんもちゃんと意思疎通出来ないわ。種族違うんだから当然だけど。