ネタバレ感想 柳田史太 『トモちゃんは女の子!』5巻


トモちゃんは女の子!(5) (星海社コミックス)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

大体の内容「私、キレたら凄いんです」。ということで、御崎先輩のぶち切れ金剛を交えつつ、トモさんとジュンの関係に新たな一ページが加わったのが、『トモちゃんは女の子!』5巻なのです。
御崎先輩のぶち切れ金剛は凄かったですが、これがキャロルさんを守らないと駄目だ、というか守らないとこの娘やばい! という幼少期の確信があるから、というのがなんとも面映ゆいというか。それがどこをどう間違えたらあのやばいオーラになるのかが不明ですが、それだけキャロルさんが厄タネであるということなのでしょう。読者側としても再三再四、キャロルさんのヤバさは見せられていましたので、そこはなんか分かる。という謎の同情心すら湧いてきます。そんな子のことが気になる、というのは高いハードルだなあ、と。
で、そこのハードル、実質あるようで、キャロルさんとしてはもう御崎先輩とくっつきたい、という想いを持っているのですが、そのハードルを意識してどうしたものか、となっているのがこの巻でわりとするっと明らかにされて、アイエッ!? ってリアリティショックなレベルの衝撃を受けました。キャロルさん、距離の詰め方が独特過ぎて、そのムーブのせいで気づいてもらえていないという状態な模様です。そこを、なんとかしてあげる、という群堂さんの言葉で、6巻の展開が俄然気になる方向へと向かっています。というか、そういうことできるの、群堂さん!?
で、その群堂さん。キャロルさんには薄っすら理解されているのですが、トモさんをジュンとくっつけることに何かハラニイチモツオアリノゴヨウス。それがなんなのか、というところまではこの巻では肉薄されませんが、でも、それが単純ではないのは理解できます。群堂さんですからね。そりゃ絶対深い鬱屈がありますよ。無い方が嘘ですよ。本気の嘘ですよ。絶対何かありますよ。
という疑義はさておき。
今回の巻で最も注視すべきは、やはりトモさんとジュンの関係性です。今回の巻では、かなり状況が変わってきています。前巻までジュンがとてもよく分からないムーブでトモさんのみならず読者も煙に巻いていましたが、そのムーブに終焉が訪れます。お祭り回を機に、煮え切らないからある種吹っ切れた方向性へと舵を大きく切りました。ぱっと見は今までの通りのようで、しかしジュンは、もうトモさん相手に本気で格闘は出来ない、と自分の気持ちに到達してしまいました。ジュンの腹は決まってしまったのです。
ということで、もう後はトモさんが意を決するだけなんですが、ここでトモさんは気づきます。
ここで恋愛に突入できる、が、それからのことは? あ・・・? あ・・・?
と、このままでは関係性は出来るけど、そこからの発展性がない。ただ気持ちを伝えて伝わって、それでどうするんだ? ということにまるで意識がいっていなかったのに気づくのです。ぶっちゃけ、もういいだろそれで! とも思うんですが、納得は全てを優先するので、そこでここ行ったら駄目だ、と納得したトモさんが、では今後どうするのか。その注目点をぶらさず見せていただきたいところであります。