感想 おしおしお 『しかのここのこここしたんたん』2巻

しかのこのこのここしたんたん(2) (少年マガジンエッジコミックス)
しかのこのこのここしたんたん(2) (少年マガジンエッジコミックス)

 大体の内容「何よ、その女!(色んな意味で)」。ということで、元祖「なんなんだ、あんた」ことしかのこさんと、ちょろ過ぎるせいで大体発言権が失われるこしたんさんの、体を張ったド付き合い。それが『しかのこのこのここしたんたん』だと言っていいでしょう。
 1巻の段階で相当ヤバイ漫画だったこの漫画ですが*1、2巻になってそのヤバさに磨きをかけてきます。その一助、というか全助というかなのが、こしたんの妹餡子さん。よくあるシスコン妹ですが、この漫画にはまともな人がこしたんしかいない為、その周りがどんどんと危険人物で塗り固められて大変なことになってくるという事態に。
 それが如実に出るのが第8話と第9話。餡子さんがヤバイのをしっかり出しつつ、こしたんの周りにまともな人がいないことが明確になり、その上でそいつらが主導権を握るのでこしたんさんに発言権が無い世界が到来します。
 そして来る、いともたやすく行われるえげつない行為。それに対して何の抗いも出来ないこしたんさん。このままでは、こしたんの命が! というところで、しかのこさんが、しかのこさんが……! という展開にぶち込まれます。ぶっちゃけ何が起きているのか大体分かるんですが、何で起きているのかがさっぱり訳が分からず、こんな世界にいるこしたんさんの命脈について思いを馳せてしまいます。
 いや本当に、なんであそこで餡子さんがクナイダート乱れ投げしたのかもわからないし、基本回避できるしかのこさんもわからないし、そもそもなんでクナイダート乱れ投げなのかもわからない為、いきなりしかのこさんが命を張る展開になっても気持ちが追い付いていかず、なのでこしたんさんがなんで!? って泣き出しても気持ちが分からなくて、全体的に何この漫画……。こわ……。という気持ちしか湧いてこないという、いい加減亜空過ぎる漫画となっているのです。
 そんな訳の分からない漫画ですが、この後もtuberになる回ではしかのこさんの角が荒ぶったり、しかのこさんが神ムーブしたり、謎のシカ生ゲームしだしたりと、今回も全ての回で訳が分からないという謎の異形を達成していました。おしおしお先生があたおかなのは知っていましたが、感得してはいなかったのだ、という謎の不覚感すら味わえました。したくなかったけど!
 それにしても、こしたんさんの発言力の無さはちょっと余人では計り知れないレベルとなっています。大体ちょろいのでついつい不覚をやってしまって権利が与えられなくなっていくんですが、それにしたってもうちょい周りは聞いてあげるべきなのでは? というレベルです。あまりにひどいので、ここぞの発言力の大切さを思い知らされる仕儀となっています。シカコレ回とかでは、なんでそんな危険地帯に……。というちょろムーブをして、発言権を失っていきます。あまりに酷い……。
 しかし、そうは言ってもいつのまにかしかのこさんとこしたんさんが微妙に仲良くなっている、という面もあります。その辺もこしたんさんがちょろいせいしかないのが切ない話。しかのこさんも友愛とかあるのかよく分からんムーブで接するので、傍から見ていると都合よく使われてないか? という疑問がだくだくと沸いてきます。しかのこさんはこの漫画の中でもトップクラスで頭おかしいので、あれで友愛なのかもしれませんが……。
 そういう、仲が良くなる点すら怪しく思えるのが、『しかのこのこのここしたんたん』の妙味なのです。普通に仲良い気もするんだけど、でもしかのこさんだからなあ……。