この項について
キルミーベイベ―――――!! じゃねえや。タイミング間違えた。
この項は、きらら系漫画の教養を畜養しようというつもりはほぼなく、自分でどこまでこういうの書けるかという挑戦でもありつつ、単なる駄弁りを形にした感じです。教養って、漫画の、それもきらら4コマに対して出るモノなのか? というのもありますが、こういうのは、言ったもん勝ちなとこありますからね。言っていくぞ、積極的にな!
でも、きらら系漫画を読んで得られるものがある、というのは正でも偽でもあるのですが、そう言う事を言い出すと永遠に終わらないので、ここではあるという建前を大事にしていく格好になります。人生の役に立つよ、きらら系は! とまでは言いませんが、何かの足しにはなる! 人は成長するのだ、してみせる! レベルの気合の入りようであることはお伝えしたい次第であります。空元気ですが。
つまり、なんか意味ありげながら適当に語らっていく項。それがここの正体なのです。それを楽しんでもらえたらお慰み。
ということでそれではいってみましょう。
第四回 『キルミーベイベー』のキルミーでベイベーなの
キルミーベイベ―――――――!!!
ということで、いいか、今回はカヅホ『キルミーベイベー』(以下キルミー)について説明しておくぞ! とホワイトボード打しながら始めましょう。ホワイトボード殴られ損ですが、それはさておき。
まず『キルミーベイベー』とは。女の子殺し屋ソーニャちゃんと、バカのやすなさんが織りなすコメディ漫画です。基本的にバカのやすなさんがバカをして酷いことになる漫画です。
以上だ。
というのが、キルミー長所であり、勘所であり、急所でもあります。
この漫画、基本的にソーニャちゃんとやすなさん以外が全くと言っていいほど出ません。唯一偶に出る忍者でしのぎが一々アレなあぎりさんという第三者や、ソーニャちゃんを狙う刺客などもいるのですが、どちらも舞台設定。もっといえばさーて、今回の状況は? という程度のものになっています。あぎりさんも刺客もどっちも大概ヤバイんですが、それでも回の方向性を決める以上の動きはしません。
つまり、ソーニャちゃんとやすなさんの二名のみで、この漫画は基本軌道しているのです。
それも一話完結で、その上で今年13年目に突入します!
グレートですよこいつは……。13年続いているだけでグレートなのに、2キャラだけで毎回話は変わる縛りですよこいつは……、それもコメディとしてですよこいつはグレート……。
この辺の凄さは案外共有されていない気がしますが、関係性がボケとツッコミ以外にない状態でここまでする、というのは超絶なのです。並の神経なら、途中で違うキャラを入れて関係性をシャッフルしてしまうところなんですよ! それをしない、というのが本当にとんでもないレベルなのです。
しかし、これはある意味では代わり映えがないやつ、という急所的な見方も出来ます。2キャラだけで回す漫画で、そんなにアップダウン大きく出来ねえだろと。
確かに、代わり映えしない気はする。でもなんか違う。何かそれ以前の問題な気がする。というか、その変わり映えの無さが、こちらの慣れのせいだとしたら? というのが、1巻から読み直して気づいた点です。初手、そんなに無茶苦茶じゃないよ!? なのです。つまり逆に言うと今無茶苦茶です。慣れていることが不思議なくらいメチャクチャなのです。
流石『Aチャンネル』アンソロでるんちゃんを毒殺したカヅホ先生。というレベルの状態が常態化しており、なので最近のが無茶だ、というのはわりと気づいてなかった視点です。そこが得られたのだけで、今回のこの項の価値は個人的にあったと思うくらいです。いつもの味は、いつも更新されているという話を思い出すところです。
ということで、この対比を感じていたきたいので、そして12巻が3月に出る記念として、今回は予定を変更して、一つの巻の1話目のレビューを既刊11巻分やっていこうかと思います。これでキルミーの変遷はイチモクリョウゼンダ!(ぐるぐる目)
それではいってみましょう。
1巻
伝説はここから始まった! という有体なやつですが、ちゃんとキャラ紹介的な仕上がりになっているのが面白く感じます。とはいえ、語るべき、提示すべきラインは少ないので、すぐにどういう風にしていくのかが分かるようになってもいます。以後はそれを念頭には置かず、常にやすなさんはバカというのは常に初手の行動で、ああこいつバカだ。としているので、ある意味ではどこから読んでもいい漫画として、大体ソーニャちゃんがツッコミでやすなさんがボケだと分かるようにしているのだ、と最初を見る事で今を感じることが出来ます。
内容自体はこの漫画がどうするか、というのを一話目として非常にきっちりしており、こういう基本はちゃんと出来るからこそのキルミーの滋味な人気なんだろうなあ、というのが垣間見えます。この段階でのやすなのバカさはまだちょっと駄目くらい。そういう意味では物足りなさもあります。物足りるのはそれはそれで違う気もしますが。
とはいえ、このタイプのわちゃわちゃ漫画の基礎形として完全に一話目で完成している、というのは特筆点でしょう。ある意味ではもうこういう話しかしない、というのが分かっているからの感得でもありますが、本当にそういうのしかしてない、というのが如何に頭おかしいか、というのが、第一話を見れば得心出来るので、最初って何でも大事だと思うのでした。
2巻
やすなさん持ち込みシリーズ。藁人形! そういうのもあるのか。やすなさんが懸賞で当たった藁人形を持ってきて、わちゃわちゃする。ベストわちゃわちゃ賞ものとなっております。当然のように持ってきた藁人形が無茶苦茶になりますが、それが最後に、えっ? ……いやいやいやいや。という流れにもっていく様は圧巻であります。そういうまだインガオホーがあるので、まともだったなあ、という印象が強い回と言えます。最近は因果はともかく応報が勢いおかしいので……。
ということでソーニャちゃんとやすなの二人芝居は、2巻にして既に完成の域に達しています。やすなさんが何かやろうとして、それに対してソーニャちゃんが巻き込まれ、やすなさんは暴力を振るわれ、ある程度痛い目をみて終了。既に痛い目にあっているのに更にあう辺りに、この漫画の姿勢がうかがえます。
とはいえ、何もやすなさんが応報を受ける因果が無いわけではない、というか大体やすなさんのせいなので、つまり自業自得。これがしっかりあるから、しょーがねーなー。ってなるのがこの漫画の上手さとなっています。応報されるだけの因果がある、というのが、これは応報されて仕方ないと感じさせる。そういうテクニックとして立ち上がっている訳です。これが2巻には既に完成の域に達している、とにかくやすなさんが悪いのが大体分かる、というので、成程長期連載するわ……。と納得させられるものがありました。
3巻
蚊。わりと珍しい、やすなさんが持ち込んだり、あぎりさんが持ち込んだり、という持ち出しが無い回。自然現象の一つである蚊を中心にした回であります。
自然現象ネタは偶にありますが、その中でもある程度自律している、蚊という生き物であるがゆえのわちゃわちゃとなっています。止まった所を叩いて、という基本ベースをしつつ、ソーニャちゃんはナイフでやるぜ! というので危険度高い回。ソーニャちゃんってナイフぶん回すイメージですが、ここはそれが顕著となっています。単に振り回すのではなく、斬! ってやるのはレアケースでしたが。蚊に斬! ってやり過ぎですが、通じてないので草案件です。
で、やすなさんが当然ソーニャちゃんを合法的に叩ける! ってやりますが、これも当然のようにさせねえよ? ってなるのでこの漫画の基本は揺るぎません。強固です。やすなさんが基本応報される漫画です。
さておき、小ネタとしてハエ叩きでシャボン液充填するとこの意味不明さな小ネタは流石としか。する必要が全くない! でもハエ叩きをネタとして使えるのは今回くらいだ! という見切りなんでしょうが、詰め込み過ぎ!
そして、終わり方は中々独特というか、まだ、こんなに……!? エンドですが、蚊なのでそこまで戦慄する必要が無いのに深刻な雰囲気で終わるので中々変です。読んでると、そ、そんなあ! ってなるんですが一回落ち着くと何がそんななん? ってなります。勢いの勝利と言えます。
4巻
餅つき。あぎりさんが外接的に話をもっていくのですが、4巻ともなるとかなり洗練されており、全体的なあぎりさんの訳の分からなさが話をうまくごちゃごちゃさせます。単に餅つくだけなのになんでこんなことに……。ってなります。
やすなさんがソーニャちゃんに杵で殴打されかけるとかは、まあいいんですが、よくない気もしますがいいんですが、そこにあぎりさんが槍と斧をプレゼント! された時は頭が混乱しました。いやマジ餅つきとビタイチ関係ない……。なんで出てきた……。というか、槍が出てきた時点でおかしいと思いなさい、やすなさん。
そして餅、なら当然のどに詰まるですが、ってですがじゃねえんだよ! とも思いますが、まあしないとネタとして不十分よね、というカヅホ先生のサービス精神を感じます。そして、きっちりと餅は危険、それ以上にあぎりさんは危険。という雑感などが得られる回でもあります。
あぎりさん、ちょっと話をまとめるのに便利で、この便利さは今後より強くなっていきます。忍者が出て終わる! ってレベルです。話が無茶苦茶になりやすくなってくにつれてその強引に終わらせる力が増していきますが、ここでは割と穏当に、謎分身しつつ終わるだけなので、でも、なんかすげぇ! という感想しか出てきません。まだこれで穏当だったのが頭おかしくなりそうです……。
5巻
手が冷たい、からやすなさんが両手を負傷! しかし、それは罠であり……。後は流れでやってください。そういう感じに最後はいつも通りに終わっていく回です。手があったかいつめたいネタは有体でしたが、有体ゆえにネタの掘り下げが限界がある! ということで手が、手がー! ってなっていくのはなんとなく分かります。
まあ、その手は、というのが予想できるというか、他の可能性がやすなさんの場合薄い。こいつ絶対しでかす。というなんか変な方向の信頼感については、全く揺ぎ無いので、その点がこの漫画の強固さだよな、と。やすなさんなら、やる! という謎の信頼性が、この漫画にはあります。伊達に長期連載してねえぜ! って感じです。
そこで、腕が! だからソーニャちゃんが一応ギリギリかいがいしく、ソーニャちゃん的かいがいしさでやっていくのですが、当然読者的にはフラストレーションが貯まる訳です。このやすな……。っていうのを、貯めきって最後にインガオホー! することにかけてカヅホ先生の右に出る者はいない。そう感じさせるインガオホーエンドでした。
この辺のフラストレーションの貯め方と放出し方が本当に巧み。読者としてはやすなさんがインガオホーされるのを今か今か、としているところで限界まで貯めて、ハイ終了! するのが水際だっています。タクミ! と吠えたりしたいくらいです。この辺のフラストレーション管理も、この漫画の面白さであるかと思います。それがどんどん際立ってきているのです。
6巻
あぎりさん家のシノギ関係。今後ちまちまと出てくる、あぎりさんの家のシノギの話。今回は単純にシノギの話ではなく、シノギのせいで出来ない倉庫整理の依頼をされて、という話です。あぎりさんから何か頼まれる系の初手のやつですね。以後のあぎりさんのシノギ関係は、学校関係、登校とか教室内でとかではお送り出来ないやつを強引に外接してくる要員として機能してきます。
そのあぎりさん家のシノギシリーズ第一回は、無茶苦茶さはそれほどなく、やすなさんがしでかす、といういつものパターンでお送りされます。まだシノギシリーズとしては出始め故のゆるさがそこにはあります。やすなさんが金目のものを! とすることによって生み出されるインガオホーへの道筋は大変見事で、あぎりさんは味方にしてもやや微妙だけど、敵ではないことだけは有利、というのが分かる展開になっていきます。
以後のシノギシリーズはどんどん無茶苦茶さを極めていき、無人島で爆死したり、室内テーマパークで溺死したりしてそこで終わるようになるので、それに比べると、あぎりさんがぶち切れ金剛だけで終わっていたのはある意味まだまともだったんだな、という答えも出たりします。
シノギシリーズは大体そうですが、舞台設定の方がアーパーなやすなさんに有利なので、ソーニャちゃんが大変そうになる、というのがこの時点で確立されているのは流石の一言です。大体この漫画ソーニャちゃんが大変ではありますが、シノギシリーズは場があたおかなので、よりそれが色濃く出る、という感じでしょうか。
7巻
やすなさんが偶にする開幕馬鹿行動回。その最初の一本でこの漫画今回は終了! 閉廷! してもおかしくないくらいに完成しているという、奇跡のような回です。これが、最初の一本で終わっても完成されているレベルというのが結構あるからキルミーはヤバイのです。こういう仕上がりの回が増えていくのだから本当に。
そして、一発目がそんなくらいに高い完成度をしているので、後の方はもうそれを越えろっ! 俺を越えろっ!! というコミックマスターJ面に対して解答していくみたいなところがあり、総じて一発目の完成度が高い回は神回という言葉を使いたいくらい際立った回になります。
この回もそうで、そもそもバランスを養うというバランスボール回なのに、初手バランスボールに高い所からダイビング! な時点でもう終わっていいんですが、それでも終わる訳には当然いかないので、バランスを合言葉に色々やっていく回となり、全体的にやすなさんのアレっぷりが大全開になり、最後はやすなさんが持ち込んだ手押し車にやすなさん(気絶)が載せられて、ソーニャちゃんの手で退場していく、という事案になります。最後のコマの、気絶やすなさんを手押し車でどこかへ運ぶソーニャちゃんは、なんともいえないアトモスフィアで、この回が優れた回であった、という余韻に浸れます。この余韻がないと、最初のやすなさんのインパクトバカに抗することは出来ないのだ、まであります。
8巻
やすなさんの物持ち込みシリーズ。レトロなおもちゃ回でした。今回も一本目でいきなり終わっても問題ないというダイナミズムがぶちこまれています。一本目の完成度が高まっている証左です。そして、大体この後もこれ以上にはならんな、という予断を与えてくれる、今回も暴力オチなんだなと気づかせてくれる、ある意味試金石というやつになっているのが注目点でしょうか。まあ、キルミーで暴力で終わらない回の方がレアですが。今回もほぼ暴力オチみたいなもんですしね。
しかし、ソーニャちゃんは何に対しても暴力で解決しようとする癖が強いのは今まででも分かっていますが、それにしたってです。大体やすなさんがけしかけるからその反応として暴力になるんですが、それにしてもやはり暴力! 暴力は全てを解決する!! 何事も暴力で解決するのが一番だ!! ってなり過ぎるというか。
この漫画の終わり方を暴力オチ、という言葉でくくりたくなる、というか実際しているのもしょうがないというレベルで、暴力が全てを解決するんですよね。この回は一部暴力オチではなかったりもしましたが、やはり大半が暴力で全てを解決しているので、やすなさんのバカ具合に抗するには暴力しかない、という諦観すら感じてしまいます。ある意味で、暴力オチはこの漫画のテーゼとすら言えます。
むしろ、やすなさんのボケに対して暴力なのもまたしょうがないの域なのかもしれません。基本、いつもソーニャちゃんにボコされていても、ボケを止めないやすなさんを見れば、やすなさん対組織暴力するのは、ある意味では当然の域であるのかも。あれだけされてもめげるとかいう精神性を持ってない辺り、やすなさんもバケモンですねえ……。
9巻
やすなさんの持ち込みシリーズ。今回は生け花ということで、剣山を持ち込み、当然ソーニャちゃんがこれを武器に、みたいなムーブをします。もうこのまま終わっても問題ないというまたしてもレベルの高い一本目をしつつ、生け花をしていく回となります。どちらも素人だし、判定役はあぎりさんだし、そもそもキルミーだし、でかなりひどい惨状になっていく回となります。
この回は大変ひどい回で、生け花がどちらも出来ないのは当然分かっていたことですが、そこを更に推進して、あぎりさんの判定で優位に立とうと、生け花が野菜スティックになっていくやすなさんがバカ過ぎて困りました。そして本当に優位に立てるというのでかなり爆笑。やめろお! こんなの生け花の判定じゃない! ってなるんですが、これが最終的に焼肉を添えて、となった所は本当に爆笑しました。植物ですらなくなった!
その後状況が七転八倒して、やすなさんが不可抗力されて終わりますが、ある意味一本目で暗示というか明示された展開で、しかしソーニャちゃんもあぎりさんも特にやすなの心配をする顔じゃないのが、この漫画がいかなる積み重ねをしてきたか、というのを感じさせてくれます。読者の方もやっぱ刺さったか―、程度になって心配とかしなくなっており、慣れって怖いなあ、というのを如実に感じさせてくれます。たぶん、大怪我ですよ!? そんな普通の事みたく見ちゃダメなんじゃないですか!?
10巻
あぎりさん家のシノギシリーズ。その中でも最高傑作と謳われるお化け屋敷回です。お化け屋敷ですが、幽霊的なのではなく、グロ姿タイプのクリーチャーで推すお化け屋敷となっております。けっ気持ち悪、やだおめ。なグロさで推してくるのですが、この回が最高傑作と言われるのは、そこが大変スピーディーであるがゆえでしょう。
キルミーはこの辺りになるとテンポの良さが格段に上がってくるのですが、その中にあっても、際立って素晴らしい速度感で、このお化け屋敷回は進んでいきます。とにかくレスポンスが早い。グロクリーチャーがでたうわあ! の速度が素早い。それでいて、早いだけではなく、一旦間を置いてみたりもする。基本グロのやつは絵のインパクトが一定時間過ぎると慣れてしまうのですが、そこを見越して素早く場面を入れ替えていく、というのをやっている。偶に慣れるがゆえに小ボケになるところもある。このお化け屋敷回が最高傑作と言われるのは伊達ではないと感じさせてくれます。
個人的には入口で武器が買える、という初手を見せている時点でこの回はやべえな、でしたが、更にその武器が中だとやけに高いという小ネタがグレートだったと思います。この辺りの仕込み具合も、この回が最高傑作と言われる所以でしょう。細かい所も忽せにしない、その精神! そりゃ長期連載だわ。
11巻
やすなさん持ち込みシリーズ。今回は壊れ傘持ってきたという端緒から、これだけ傘があれば問題ないね! ということで特殊傘を持ちこむという、二段構えの展開でしたが、そんな沢山傘要らんだろう、と思ったらどれもクソタレ使えない傘という、ソーニャちゃんでなくともまたごみを……。案件でした。
前段階の壊れ傘の件もひどく、途中で壊れたのではなく壊れたのを持ってきた、というやすなさん以外がやると嫌味にすらなるネタを、しかしやすなさんだから成立しているという仕上がりをしています。もう、この巻くらいになると馬鹿な行動するやすなさんから、やすなさんがしているからバカ行動だ、という視座に立ててしまうようになっており、実際そうバカ行動ではないのでは? という疑念すら出ないので、やすなさんのキャラの立ち具合は尋常ではないと言えるでしょう。
同時にそのまたごみを……。という傘の性能を素早く効果的に見せてくれます。この辺りのテンポの良さが極まって、ネタとしては壊れ傘持ってきたと特殊傘持ってきたの二種あるのを、一話に落とし込めています。二回に分けるネタでもないしな、という割り切りが素晴らしいと言えるでしょう。特殊傘でもロング傘とかなんの使用用途を想定したのか全く分からない仕上がりで、それ電線とかに引っかかりませんか? になるのを、しかしサクッと終わらせる辺りは卓越の域です。これを一回のネタとして使いきるなんて……。
では、キルミーでベイベー
さておき、11巻分の一番目のを軽くレヴューしてみましたが、やはり後になればなるほど、そのテンポの良さというのが浮き彫りになってきます。10巻の一発目、お化け屋敷回がその中でも顕著に素早いテンポでやっていくんですが、ソーニャちゃんたちと同じタイミングでうわあ! うわあ! ってなる見事なジョブとなっています。このテンポの良さが、キルミーの魅力とも言える状態になっています。
とはいえ、2人にキャラクターを絞りに絞ってこの内容を作れる、というのは何度も言いますがちょっと平静でいられないくらいの凄さです。凄いんですよ! と喧伝しても問題ない奴だと思います。ほぼ同じ関係性矢印のまま、12巻がもうちょいで出るという領域。そして大体二人で回るネタを、毎度作り続けて既に100回を優に越えている訳ですよ。きらら系の最長不倒まではまだありますが、現在のきらら系最長の一角である、というのにこの絞ったキャラ数! そして一回で終わるネタ! どちらも軽々に真似できない仕上がりで、きらら系の強さというのは、実際こういう漫画の存在を許していることにあるのだ、というまとめのような言葉を出して、今回はこの辺りで失礼します。