感想 小箱とたん 『スケッチブック』13巻


スケッチブック 13 (コミックブレイド)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

大体の内容「観察は大事。分かる」。帯の句の分かりみは高いものの、それでこの漫画の自然ネタの野放図な多さを覆い隠すことは出来ない。そう思わせる『スケッチブック』13巻なのです。
とはいえ、自然ネタばかりではありません。鳥飼さんの生活あるあるとか、自然ネタとか、梶原さんの生活あるあるとか、自然ネタとか、ケイトの出自ネタとか、自然ネタとか。……とにかく自然ネタばかりではありません。ですが、興味を引くのはどうしても自然ネタなんですヨネ……。
さておき。
今回もオムニバスに展開される『スケッチブック』ですが、いつもと違う見どころが三か所ほどあります。
一つがとうとう親が出たー!
一つが麻生さんキャラ迷走!
一つが危険な奴らが集まってくる!
という感じであります。一つずつ見ていきましょう。

梶原さん家の親が出た!

嫌な虫が出たみたいな言い方してしまっていますが、それだけびっくりしたということを皆さんに伝えたい。もう既に10年以上の連載をこなしている漫画な『スケッチブック』。しかし、そこに親の存在は露ほどにもありませんでした。あまりに出ないのでそもそもいないものだと思っていましたが、この13巻に、とうとう梶原さんのお父さん、梶原畦道の登場だーッ! という運びになりました。その立ち振る舞い、出来もしない釣りを適当にやってみるというのは梶原さんにDNAが脈々と受け継がれているというのが分かるもので、むしろ青君が何故この要素を持たなかったのかと変な考えに至るくらいでした。今後もしばらく出るのか、単なる気の迷いなのかは不透明であり、さてどうなるか。

麻生さん、どこへ行く。

最近、空さんのクラスメイトが出るようになってから、三人娘としての地位が危うくなっている麻生さん&鳥飼さん。ということで、テコ入れしてみよう! という話になりますが、なんで着ぐるみだったのか、というのはよく分かりませんでした。アバンギャルドを攻めたいということなのか。そんなよく分からないチョイスを選んだ、キャラの薄さで定評のある大庭さんプロデュースは、以降ほぼ使われないネタだったので、失敗と言えるでしょう。本当に何がしたかったんだ。というか麻生さん普通に変な子だよ?

危険な奴らが集まってくる。

これはその話にとっては小ネタで、本当にちょっとしたことなんですが、なんか妙にツボだったので特記します。単に、栗原先輩が虫知識を披露している中でどんどんと人が集まって質問してくる、というだけのネタなんですが、それがいつものこの漫画のそれと軌を一にするくせになんだこれ、という感想を抱かせる特異なネタだったのです。ついついロッチナボイスで「危険な奴らが集まってくる」ってボトムズ次回予告風に言いたくもなります。ネタとしてはだからどうした、なんですけど、妙に印象に残ったのでした。

さておき

最後に自然ネタの奔放さについて書いておきましょう。というか、油断するとあっという間に自然ネタに侵食されるこの漫画ですが、でもそれが面白いから大変困ります。虫の名前のいい加減さネタはこの漫画の王道ムーブですが、今回も「成程、分からん」という感想しかでないのが多かったです。カワセミの仲間の名前とかもう少し考えてつけろやあ! 案件過ぎて、むしろ心地いいレベルでした。というか、読みが多すぎる!
とかなんとかな、ある意味いつもの『スケッチブック』でした。