感想 渡井亘 『恋愛感情のまるでない幼馴染漫画』1巻


恋愛感情のまるでない幼馴染漫画 (1) (バンブーコミックス)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

大体の内容「これだけイチャコラしているけど、恋愛感情一切無し!」。辰季と空良は幼馴染。でも恋愛感情は一切ない! と思っていただこう! というのにこいつらイチャコラし過ぎなんすよ……。そんな二人の関係性が崩れることが一切ないという、ある意味でチャレンジブルな一作。それが『恋愛感情のまるでない幼馴染漫画』なのです。
こういう漫画では、恋愛感情が無いからあるへと変遷していくのが通例かと思います。ですが、この漫画ではそういうことは一切ありません。とりあえず1巻ではその欠片とか、ナノミリもありません。ここまでイチャコラしているというのに、その辺は本当にない。つまり相当のハイ・クラスだ! な内容となっております。
二人にどれだけ恋愛感情が無いか、というのはどう見ても付き合っているように見えるけど、時折デートの練習してエルせんせ(見た目幼い。確か2巻収録範囲くらいから辰季と付き合っていたような覚えがありますが)に評点してもらっていたり、どう考えてもスキンシップの域を次元の超越したくっつき具合とかしているけどエロには突入しないとか、えっ、これで? というものです。ある意味で、そこの関係性が揺れないからこそ安心して見れる、というぶっちぎりで何言っているのか分からないでしょうがこちらも何されてるのか分かってないですよ! なことをしてくれます。いやでも、耳とか舐めてたら、戦争だろうが・・・っ! ってなってしまいます。でも、そういう距離がひたすら近い友達なのです。友達とヤらないだろ? と言われると頷くしかないというか。
さておき。
いやでも、耳舐めしたり指舐めしたりというの、ちょっと友情でも近すぎない!? なんですが、近いから恋愛感情がない、けど離れたら案外もしかして、という要素が全くないって、とても偉大なことだと思いませんか? とも言えます。大体幼馴染が相手を見直して恋愛感情を、というのはありふれているものですが、そこをきっちりスカしてくるこの漫画の猛威は、その攻め方にイエスだね! って言ってしまうものです。どこに落ち着くのか全く読めない、本当に恋愛感情が無いままに終わってしまっても、全く説得力がある。というレベルでありまして、こんな変則手を打ってくるまんくらの土壌の豊潤さよ! と思わずにはいられません。
さておき。
個人的に1巻の好きなところは、この漫画の核心の一つ。空良さんが辰季との間柄が、初めて見た時ピピッと来たのに友人どまりなんだぞ? これ以上であるはずの恋人なんて、そうそうこないって!(意訳)と発言したところでしょう。これが凡百の漫画ならもしかしてこれが恋? ってなりそうですが、そこに全く行かず、親友なんだよなあ。で済ましてしまうところです。えっ、そこ気づきポイントじゃねえの!? というところです。これで、お互いに好きな相手が出来たら、どうなってしまうのか。あるいはどうにもならないのか。その辺が大変気になるので、是非とも続刊してください! と書いて、この項を閉じたいと思います。