感想 椿いづみ 『月刊少女野崎くん』10巻


月刊少女野崎くん 10巻 (デジタル版ガンガンコミックスONLINE)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

大体の内容「まあ、こいつらじゃあ修学旅行こうなるわな……」。高校生の一大イベントである修学旅行を基本にしつつ、まあこいつらだしな……。という謎の信頼性でお送りされるのが、『月刊少女野崎くん』10巻なのです。
とはいえ、恋愛話が励起しないかというとそういうことでもありません。9巻でどうにも鹿島君が男としても女としても理想らしい、と堀先輩が気付いてしまってからのこの巻でのプール回での堀先輩の行動、鹿島君をどうマイナスに落とすかとかしているとか、結月さんがいない! でも微妙にしょげる部分がある若松君のテンションとか、キャーラブだわー! いうのをかなり贔屓目でないといけないにしても、見れるようになったのは喜ばしいことだと思います。特に堀先輩はかなり必死こいているものの、やはりオチている気がするというか、無駄な抵抗とはまさにこのことだなあ、と。鹿島君もそこで押すタイプでもないというか、そも気づいてないというので、この二人の微妙な関係性が完成されており、10巻になってもまだまだいける! まだまだ引っ張れる! という椿いづみ先生の声が聞こえるような気がしました。
さておき。
メインであるはずが後れを取りまくって周差がついている感がある野崎くんと千代ちゃんの間柄は、今回はほぼ進みませんでした。ラブイベント起こせるんじゃあ? というタイミングはありましたが、大体漫画のネタにされるという、ある種この漫画の業のようなものが。野崎くんの方の真意は相変わらず不明な行動もありますが、千代ちゃんの方の行動に迷いが薄くなってきているのが気になります。野崎くんが潜り込んだ布団、買い取りは? とか言い出してしまってもう駄目。良くある不可抗力で一緒に布団に入ってしまうという方が連載の方でされて、描きおろしでこれ、というセンスは流石ですけれども。
さておき。
そういうドタバタ修学旅行も良かったですが、単発ながら僚介さんが都さんのところに忘れ物を届けに行ったら何の因果か前野さんが来ていて、という事情を知っている我々ではない僚介さんの心中如何ばかりか案件が最高でした。以前、野崎くんを彼氏だと勘違いしていたままだった僚介さん。そこにまた違う男。え、これ俺ヤバいタイミングに来たんじゃね!? となっている辺りまだ僚介さんも正常な思考してましたが、前野さんが特に邪険にもせず家に上げてしまったり、都さんの職業についてばれないように! と前野さんに言っても前野さんは前野さんなので全然配慮出来ない辺りで勘違いが加速して、最終的に都さんの仕事をダンスガールと思い込んでしまいました。この辺のシナプスの駆け巡り具合はいっそ可哀そうなレベルですが、一応秘密は守られたので良かった良かった。と思ったら野崎くんがやってきて更に勘違いが加速します。宮前さんの名前が加入したせいで僚介さんがこの関係性にからめとられた! ってなってて所謂草案件でした。何も複雑な関係が無いのに!
しかし、この漫画も二桁に突入しました。それでも内容的にダレを見せない辺りがやはり天才か……。って案件です。徐々にラブに近付いている部分もありますが、メインの二人は進行度が進んでいるのかいないのかさっぱり分からないのもここまでくると芸術の域。ちょっと進まな過ぎて千代ちゃんのアトモスフィアがおかしいになっているまでありますが。一応、あの人のものが欲しい、ってのは分かるし、そのネタもしてたけど、実際にちゃっかり野崎くんのシャーペン強奪していると、うわぁ……ってなってしまいます。先にネタとしてやったがゆえに、ガチ感が増した、というべきでしょうが、しかしそんな微妙なところで喜んでいて、この先大丈夫なのか? そんな不安というか期待というかを持ってしまう10巻だったかと思います。
千代ちゃんに光を!
とかなんとか。