感想 ヤマザキマリ 『テルマエ・ロマエ 1』

テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)

　大体の内容。古代ローマに吹く、現代日本の風呂文化。それだけだとわけわからんでしょうが、大体そういう話です。タイムスリップなのかなんなのかで、古代ローマの建築技師（風呂専攻）が現代日本に移動*1、そこで見た日本の風呂やそれにまつわるものを見てはカルチャーショック*2、そしてまたローマに戻ってはそれを自分の時代で出来る限り真似をしていく、という伝奇物です。伝奇物ですが、場所が風呂場限定なので血なまぐさいことにはほとんどなりようが無い話でもあります。題が日本語だと「ローマの風呂」ぐらいの意味なので、その辺は察していただきたい。
　とりあえず、どこが楽しいのか、というと上記の通り文化差、あるいは文明力の差によって生み出されるギャップで、くすりと笑う辺り。というか主人公である建築技師ルシウスがまったく勝手の分からない世界（現代日本）で日本の風呂文化に触れては一々ヤックデカルチャー状態に叩き込まれ、自信を喪失し、それでもローマ人の誇りに賭けてその差に立ち向かう、というのがすっかり様式美。まったく勝手の分からない文化に挑む姿は雄雄しいですが、大体現代に来たときは素っ裸*3なので、無様なことこの上なくもあります。毎度服をどうするかがネタになるので、制約きつそうですが、今の所はうっちゃらないでちゃんとしてる辺りは好感度が高いです。
　しかし、現代の意匠のものを取り入れてるのは、タイムパラドックス的な意味で大丈夫なのか。オーバーテクノロジーではないけど、って考えたのですが、良く考えると伝奇だもんなー。
　ということで、一点突破なネタが好きなので大層はまれました。これがどんどん進んで行くとどうなるのか、も気になる。どうなっちゃうんだろ。

*1:ただし風呂場限定

*2:二千年差があるので当たり前ですが

*3:水辺、あるいは風呂に入らないとタイムスリップできないので