感想 小箱とたん 『スケッチブック 8』

 大体の内容。「美術部は今日も平和です。平和ですったら!」。大体のノリが言ってしまえば『スケッチブック』ノリとは言えるんですが、そのノリの形も巻を重ねるごとに変化してきたように感じます。初期は意外とだらしねえなゆっくりしたボケのペース、ツッコミのペースであり、それがアニメでは増幅されて陸ARIAという展開だったわけですが、アニメ化され始めた辺りからこののっぺりと言った風情が徐々におかしい、と言うと変ですがどこか違ったもの、はっきり言えば勢い重視のパワフルタイプになり、それに伴い儚いイメージがあった空さんがどんどんパワフルボケモンスター化し、アニメから入った人には誰なんだあんた一体…。という面持ちにさせられるようになりました。その流れはこの巻でも変わりなく、というかより強い力を持って推し進められます。そのせいなのかなんなのか基本おバカなので力押しな春日野先生の出番が多くなり、力強いネタ系なはずの涼風コンビと空閑先輩のトリックスターズは出番が何故か減少し、空やケイトの出番がふわふわしたのからパワフリャーなもの重視に。それでもこの漫画が『スケッチブック』でありますので、跳梁跋扈する自然ネタの分かりにくいボケっぷりは健在ですし、たまにある鳥飼さんの小市民ネタも山椒の効き。空の行動もパワフリャーなものは多いですが意味不明なふわふわ感も無いわけではない。そういう意味では位相はズレても根幹は変わらないんだなあ、という思いが募ります。長くするパターンのネタもあるけど、基本的にアソートだから、もありますけど。
 細かくネタを見ていくと、ケイトの出番が多かった印象があります。いやまあ、今回に限れば栗原先輩絡みのネタはマジ跳梁跋扈なんですが、それでも俺がケイト好きだからケイトネタが多かったような気がしています。ケイト好きだから。←二度目 その中でもグレイトだったのは食べ放題に行って最後にさくらんぼが残ったので頬に溜めて帰る所での「ンェ」でしょうか。頬張りケイト可愛いのと、「ンェ」の絶妙な絶妙感が合わさって今迄で一番ケイト可愛いと思いました。真のファンなら噴飯物かもしれませんが、ああいう微妙な感じのケイトもまた可愛いんじゃないでしょうか!(迫真)
 さておき。
 出番が多い、と言うと栗原先輩のおまけ扱いというか実際おまけだろな佐々木先輩の出番も多かったように感じます。特にギター関連の話をする辺りは妙に輝いていて、でもあなた美術部ですよね感満載となっておりました。教えてた辺りの板書がちゃんと後にも生きてくる、という『スケッチブック』にしては大変珍しい回、ほとんど単品で終わる事が多いのが『スケッチブック』味、であったのも相まって、妙に印象に残った感じです。でもま、冷静に考えるとやっぱり栗原先輩のおまけだよな、佐々木先輩…。
 さておき。
 巻が進む事によって、変な力強さを持つに至った『スケッチブック』。今後どういう力の入り方になるか予断を許しませんが、でもこういう不思議な力を得る事があるから、長期連載になるって、良い事なのかもなあ、と思ってみたり。まあ、駄目な方向に向く事もあるけどさ、長く見れるのはそれだけでもありがたいって事を、こういう例があるからこそ忘れないようにしたいです。