感想 あfろ 『魔法少女ほむら☆たむら -平行世界がいつも平行であるとは限らないのだ。-』1巻

 大体の内容「ほむらちゃんの繰り返しの日々のエッセンス」。副題である、平行世界がいつも平行であるとは限らないのだ。というのがまさしくぴったり来るちょっとずれた世界で奮闘するほむほむを、そしてそのずれっぷりを楽しむ漫画。それが『魔法少女ほむら☆たむら』なのです。
 先にあfろせんせの味とは何かを定義しますと、やはりヘンテコなギャグ調が先に立つかと思います。そういう面で言えばこの漫画もまどか☆マギカの二次創作ですが、あまりにあfろ色溢れております。ずれてヘンテコな平行世界でほむほむが奮闘する物なのであります。その奮闘っぷりには自然と涙が、主に笑いのせいで浮かぶ方もいらっしゃるでしょう。勿論、こんな苦労してたのか、という方向性で涙せねばならないんですが、にしても変な世界が多すぎます。たまに奮闘するもなにもなく、ソウルジェム探すだけで終わったりする回もありますし。ほむほむ何か悪いことした? というのは原作の状況の時点から思わされていた事でありますが、それが更に色濃くなってしまっているのが、あfろ味と言えましょう。とはいえ、こういう平行世界だからありですね、というネタが出てきて、そのずれがすぐに理解出来る辺りは流石のあfろせんせです。ネタがわりと致命的なのに分かり易いんだから。そしてこういう世界である、というのを毎回毎回していくというのは、ずらしていくのは大変そうなのに、毎回一回で終わらせるのも流石。一回で分かって一回で終わる、ってのはよくよく考えると大変な出来事ですよ、ええ。それについては『月曜日の空飛ぶオレンジ。』でもそうでしたが、こっちは元ネタというか元になる原作がある状態。それをどう崩すか、というのと、どこまで崩せるのか、というのの合わせ技で更に難しいでしょうに。やはり天才か……。
 さておき。
 そんなヘンテコでずれた世界でギャグしていく漫画ですが、たまにそれだけだと? というしゃっつらを見せるのもこの漫画の味。マミさんだらけの世界で女王になっているマミさんが見せる顔とか、ほむらだらけの世界であるあけみ屋で、そこを切り盛りするほむほむが見せる諦念とか、時間停止が暴発して恐怖に叫ぶほむほむとか、おっ、と思わせる味わい。そういうのも出来る、というのは元々追っていた『月曜日の空飛ぶオレンジ。』で知ってはいましたが、この漫画の中でも見せるとは。とはいえ、基本的にはずれてヘンテコ。そこが重要であり、真面目な面は瑣末であるんですが、それゆえにたまにしゅっと入ってくると面持ちを正したくなり、それゆえにまた元のヘンテコずれに戻ってほっとする、というのをされる訳ですよ。そりゃ調教されるめいていますよね。やってくれますなあ。
 さておき。
 好きな話の話をすると、全部好きですが、それでもどこか、というとやっぱり「ほむらだらけの時間軸」ともう一つは「近似時間軸」でしょうか。
 「ほむらだらけの時間軸」は単純にほむらだらけであり、何がほむらだらけだ馬鹿馬鹿しい! という内容。ある意味この漫画のノリのボケ方向に対しての頂点と言える回でもあります。というか、皆が皆、全員ほむほむだけど、妙にゆるいのは、それだけ今までの時間軸移動で刷り減っている分を回復する為なんだろうなあ、という印象も。そこに上記諦めたほむほむがちろっと絡んでくるので、なんか底が見えないような雰囲気も出たり。この辺の手管、ちょっと出すだけで何か複雑な感じを出すのが上手いなあ、とか。
 「近似時間軸」は基本的に周りがおかしい事の多いこの漫画のずれ時間軸に対してほむほむが困惑すると言うのが、ここでは逆転してほむほむがおかしいという状況になるのがいいです。最終的に魔法少女ってなんだろう……。という肉体言語状態に持っていかれて困りました。お前がボケたら収拾付かないだろ! とはいえ、今までの積み重ねで知悉した勝利の方程式をがつがついくほむほむは頼もしいです。頼もし過ぎます。頼もし過ぎるんですよ! むしろこうだったらいいのに。
 とかなんとか。