感想 高橋慶太郎 『デストロ246』4巻

 大体の内容「殺し合い、絡み合い!」。3巻の段階で既に仇の名前を知ってしまった翠と藍。当然そこをついて攻めていく訳ですが、その仇も動き出して……。というのから一気に話が進むのが、『デストロ246』4巻なのです。
 実際、その動きの速さ、というのは本当に高速、いやこれは神速であります。沙紀というワードから、伊万里、苺達、そして翠と藍が絡み合い、と思ったら展開がどんどんと進行して行きます。というかサイサイさんが、と思ったら次は透野さんが、であり、その間に激ヤバ電子ドラッグ<ホログラム>が絡んできており、それが沙紀が追う形からその依頼主が殺されて問題なくなった、と思ったら苺達が絡んできて一気に展開、そして渋谷で私たちと握手!(婉曲表現)という展開にぶっこまれます。一般市民逃げて―! としか言いようが無い、カタストロフしか想起しない、激ヤバ女勢ぞろいの巷ですよ。この辺がもう、本当に淀みが無くて、流石ミッタマイヤー、速い! という言葉が自然と出てくるくらい、え? もう? え? という速度。畳みかけるとはこういうものなのだよ! という高橋せんせの高笑いが自然聞こえてくるのもむべなるかなです。伊万里、苺達、翠と藍という三つの線を、沙紀という一つの軸に綺麗に絡ませて魅せている見事なジョブ。感服したというか、侮っていたと思っていなかったけど、その思っていなかったが既に侮っていたというか、とにかくとんでもない物でありました。確かに、致命的な転換点! 帯の言葉は本当に脳に染み渡ります。でも、このままだと相当な事になるというか、相当な素っ頓狂な事になりそうな予感もあって、それではてさてどうなる事やら。
 さておき。
 今回の巻では前半は蚊帳の外だけど後半は沙紀によって深く絡む事になる苺達とか、全体的に電子ドラッグとは関わってないけど変な所で絡んでいた翠と藍とかより、やっぱり全体的にポイントポイントで出てくる伊万里が目立っている感がありました。特に、そうする必要が無いというか、むしろ足を引っ張る事になるのが分かっているだろうに、電子ドラッグ製作者を助けようと、日常に戻そうとする辺りが、確かに伊万里の矛盾であり、確かに自身を苦しめている頭痛と関連があるのかなあ、とか。そういう言葉が実際他人からだけど出てたし。その辺の矛盾こそ伊万里を立てる物ではあり、特徴づけている訳ですけれども、でもやっぱりどうしてそういうメンタルになったのやら。ワルじゃないから助ける、というのは殺し屋としてどうなのかしら。とか。その辺は、出てる漫画見ろって事でしょうかね。音楽がかかっている、ってのは分からなそうでもありますし、そこは謎めいていて欲しいとも思いますが。
 さておき、今回のおまけページ、ビストロ246で地味に細かくネタがあって困ります。伊万里の頭痛、というのが常にしている、ついでに歌もずっと流れてる、というのがこんな所で開陳されてます。あまりに自然さで一回目気づきませんでした。二回目を読んでアイエッ!? ってなりましたよ。こんな重要そうな事をこんな所で! 特に重要そうに見せないで! というか全体的に尺が足りなくて小さいコマになってしまって! 更にオチも特になくて! もう、バカ。