ネタバレ?感想 高橋敬太朗 『デストロ016』1巻

デストロ016(1) (サンデーGXコミックス)
デストロ016(1) (サンデーGXコミックス)

 大体の内容『JKがぶっ殺す漫画が帰ってきた!』。ということで、高橋慶太郎先生謹製JKがぶっ殺す漫画、それが『デストロ016』なのです。
 今回のメインは、高橋慶太郎先生の同じく謹製で前作にあたる『デストロ246』で辣腕を振るった殺し屋、サキがメインのお話。サキって成人してなかったか? そうです、JK時代の話なのです! と脈絡なくなりますが、とりあえずサキのJK時代の殺し屋としての生活の話なのだと思っていただければ、大体問題はないと思います。
 前作があるけど、特に前作知らなくても、246のメインの子らがまだ幼児だった頃の話なので、問題ない仕上がりですが、デストロの精神、女の子殺し屋最高! ああ、男はすぐ死ぬですよ。という基本テーゼは全く容赦なくいつも通りぶち込まれております。
 そのせいでサキのクライアントで金づるで一蓮托生な人んとこの秘書がいつ死ぬんだろ、ってなるので困ります。男というだけで死亡フラグ。それがデストロシリーズで、それが違えたことがないので、まああの秘書死ぬよな……。ってなるのです。
 ということで、基本的にサキという殺し屋が無茶苦茶するのと、男というだけで善戦も出来ず死ぬ、あるいはサキの敵なら女でも容赦なく死ぬ、という血と硝煙の薫りがするというかそれ以外は下品な意味で下の方の薫りしかしません。246でも派手に暴れまわったサキがやってやってやりまくる。下の意味でも、というのが、この漫画の大体の構成要素となっています。しかし、その方向性に対する一点突破具合は、246よりも飛び抜けている感じがあります。
 これは、246が3つの線が交わるところで鉄火場が生まれる話だったのが、今回はサキ単線。ということで、やることはシンプル且つダイナミックに。つまり超強いJK殺し屋が暴れるという、分かり易い流れです。ある意味ではこの単線で成り立つのか? というレベルのものとなっています。
 246は3つの線が交錯しない所の話が生みにくい感じでしたが、今度は単線ゆえに単純になり過ぎるのでは? という疑惑が浮かんできます。しかし、もしかすると、単線ではやらないのかも、というのが、1巻後半の百舌戦で浮かんできます。この百舌が違う線として浮かび上がってくるのでは? と。
 百舌も、中華系資本生まれの強い女殺し屋なので、サキと殺し合いに発展しますがお互いに殺すには至りません。お互い、ビジネスライクに殺しをしているからですが、この辺からして、つまり温存したことで場合によっては線として残すつもりなのでは? と疑惑を持つわけです。
 サキが死なないことは、246が保証している。なのでいつか死ぬ役が誰かいる、かもしれない。246ではメイン6人があれだけ鉄火場に居たのに一人も欠けなかったので、その辺は高橋慶太郎先生の匙加減一つ。なので、百舌がもう一つの線になるのはあり得る。しかし一体どういう話に推移していくのか、全く読めない。
 そういう意味ではかなりこの漫画の推移が分からない。246も大体分からんかったですが、輪をかけて分からん。でも、JKがぶっ殺しまくってやりまくって、というものが好きな者だけが出せる鈍色の輝きは、246より更に濃度を上げており、果たしてこの漫画はどこに辿り着く漫画なのか、どこまでいっちゃうのか。その点だけがひたすら気になる漫画となっております。
 あと、016は結構エロに奔放になっていて、246も事後はあったしおまけで5Pやってましたが、ダイレクトにやるとこ見せなければ別に問題ないんだろ、という割り切りからかなりギリでエロ直前で絵に映すのを止めるテクで翻弄してきます。そういうことなんだけどそういうことじゃない! というアンビバレンツな突っ込みをかまさざるを得ない、そういう割り切りです。おっぱい出す程度なら問題ないだろ? ってのから直前までやるので、わりと悶々とさせられるんで本当に困ります。俺に、どうしろと言うのだ……。
 そんな訳で、246が構造の限界が出た感じで終わったと勝手に思っているんですが、今回は逆に構造の地盤が弱すぎるのでは? という思いつつも、やってやってやりまくる、というのをやり続けたらその漫画はどうなるのか、という一つの実験としても成り立つ気もするのが『デストロ016』なのです。