感想 湖西晶 『〆切ごはん』1巻

 大体の内容「これが女オタの生きる道」。エロ漫画家、梅ゆかりさん19歳の漫画家活動と食生活を色んなリズムで綴った漫画。それが『〆切ごはん』なのです!
 この漫画は基本的にお一人様系という便利な言葉が、我々の切り札。という感じで一人飯重点の漫画です。が、『孤独のグルメ』から端を発したお一人様ご飯系。その一翼でありつつ、まんがタイムきららで連載中の所謂きらら4コマ漫画でありつつ、ゆかりさんのオタとしての気質も出ているオタ漫画でありつつ、エロ漫画家として生活している梅ゆかりという漫画家漫画でありつつ、と様相が多いのがこの漫画の特異な点。これだけ多様であると一つ一つがおざなりになる所ですが、それがどれもきっちりとしているのがこの漫画の更に特異な点。1巻の内容で、どれもきっちりとフォローされて抜かりがないのですから、本当に何だこの漫画って言いたくもなります。とはいえ、そういうスゴイ級漫画という雰囲気というのはなく、あくまできらら4コマ漫画として軽やかなのです。なので何の気なしに読んで、楽しんで、だけでもいいし、そこから更に読みこんで味わう、という楽しみ方もできる漫画でもある訳ですよ。流石に湖西せんせのキャリアは伊達ではありません。すげー。
 さておき。
 今回は上記四点については他に書いている人も多いと思うので軽くスルーして、ここではこの漫画の変な部分である姫騎士とオークのフィギュアの部分について語り下ろしたいですが、このフィギュアの会話というのは一体どういうレイヤーなのか。実際に器物神として人格が宿っているのか、あるいは所謂第四の壁を越える物なのか。その辺を考えてみたんですが、やっぱりつぐももかなんかなんじゃねえかな、このフィギュア。誰かの、特にゆかりさんの妄想会話という風でも無いし、他の人は基本出て来ない所で会話してるし、やっぱり付喪神のたぐいなのかしら。でも、姫騎士は台詞の大半がエロ発言というか、所謂テンプレの「くっ、殺せ!」からやっぱりエロ行動には勝てなかったよ……。って何もされてないのに言いだす辺りが相当エロ脳で困るんですヨネ。こんな付喪神やだー。オークが大変ジェントルメンなので更に際立つのやだー。
 とはいえ、エロ発言は湖西漫画には付きものでありまして、それが主の話の方に強く出さない代わりに、ここで使ってきているのかな、とも思えたりも。そういう意味ではエロ漫画家の話なのを上手くいなす方向であるのが姫騎士とオークの立ち位置かしら。やっぱりがっつりエロ漫画家としての話となると掲載誌的に難しいけど、ネタとして使える姫騎士とオークなら問題ない、って判断? いいんじゃないの?
 とかなんとか。