『まんがタイムきららミラク』2014年12月号 感想

今号の巻頭漫画感想

川井マコト幸腹グラフィティ

 オープンキャンパスを充実させた町子さんでしたが、一方のきりんと椎名さんはなんだか様子がおかしくて……。
 出来る事が広がるのはいい事ですが、広くなり過ぎるときりんと椎名さんみたいにどうしていいのか、ってなってしまうのは日本人特有のなんでしょうか。色んな事で制約がある程燃え上がるイメージですヨネ、日本人って。という迂遠な言い方をうっちゃって、未来が広過ぎて、何をしたら、と焦っている二人に対して共に食べたかった物を出す事でクールダウンさせる町子さんはいい奥さんになれますね。気持ちばかり焦る時の危険を、食でどうにかする辺りがこの漫画らしいですが、大体食べると皆落ち着く、というのが人間のみならず生物一般ではあるのかなあ、とまた話が広くなりましたが、最後の町子さんの腹の虫の鳴り具合が半端じゃなかったのが個人的に大ヒットでした。きりんが、食欲がない! も良かったですが、あの鳴り具合は本当に尋常じゃなかったので、断食でもしてたのかという思いに囚われました。特に伏線というのは無かっただけに、本当に不意打ちで丹田がー! でした。こういうのもこの漫画の味だよなあ。

個別チェック三連撃

はりかも『うらら迷路帖

 吉凶の話は基本ですがこの漫画としては避けて通れない部分ではあり、そこ華麗に仕留める様は卓越した手腕と言えるんですが、黒猫が不吉! って言ってるそばから、でもかわいい、って黒猫をあやし始める四人娘が可愛過ぎました。こういう可愛い部分がするっと出てきて主張し過ぎないけど退潮もし過ぎない絶妙さは本当になんか見習いたいくらいです。ですが、紺さんが見せたあのあられもない姿と哀れすら誘う姿は共に印象的でした。前者がエロス! で後者が丹田が―! という意味合いで。というか、あの水止舞は本当にやってたんだろうか。あまりに滑稽で雨とかどうでもよくなるとかそういう類じゃねえのか。

クマノイ『リメインズ・JC』

 タワーどうでしょう。という感じで高いビルに行ってみる回。にしてもダイエットを考えるって事は食事関係においては結構充実してるんでしょうか、あの生活。痩せる必要性ないというかそれ危険なんじゃねえか、って普通思うんですけれども。色々資源は潤沢っぽいのかなあ。救助を待ってるっぽい台詞もあったりするけど、この漫画の世界がどうなってるのか、というのが全く分からない、且つ登場人物と同じレベルの情報しか得られないので、どういうカタストロフがあったのかとか、この漫画の終わり方が酷く怖い事になるのかとか、色々考えてしまいます。基本的にあれだけの広範囲でJC達以外誰もいない、けど野犬とかはいる、というので、ますますですよ。人だけいなくなっているとも考えにくいんだけども。うーん。

ぼるぴっか『青春過剰Sisters』

 芹奈さんって何であれでキャーキャー言われるんだろう、ってくらい今回の言動は酷かったんです。「おんなのこ きれいかわいい いいにおい」てお前……。それでも締める所はきっちり締めてたので、ああ、ヒーローかくあるべし、って感じでした。このイケメン力があれば、言動程度では揺るがないんだなあ。
 にしても、親衛隊は大変分かり易い悪辣してて、ヒールとはかくあるべきという感想が湧いてくるくらいいい意味でも悪い意味でも悪役でした。でも、最後は桔梗さんと居る芹奈さんが輝き過ぎて、見ていられない、とか改心フラグもきっちりおっ立てるから、本当に出来た悪役であったなあ、とも。上手い使い方だったなあ。

今号の巻末漫画感想

あfろ『シロクマと不明局』

 熊本さんが、いつものように配りに行った先。そこにいたのは、熊本さんのお婆さんでありましたが、しかし……。
 今回で物語は一つの収れんに向かって進みだした感がありますが、それはまあどうなるかなあ、といううっちゃりして、重要な部分になりそうな部分をピックアップ! しますと、熊本さんが見えるようになった赤い糸と、それ以外の能力が見えてるらしい部分がまず。ショーワさんが錠前の力を持っているらしい且つ最近になって発動しているらしいのが、前回との繋がりとして立ち上がってきておりますが、これがどう転ぶのかはまだ分からず。次に熊本さんのお婆さんが若かった事。これはマリーちゃんと同じ方向性の何かが働いているのでしょうか。同じように記憶も失われているので、天国あるいは地獄から煉獄に来たらこうなってしまうのか、あるいは? 謎です。そして最後にシャロさんと熊本さんの角が取れちゃった事。角がどういう意味合いを持っているのか、によって考え方が変わりますが、元々なんで角があるのかよく分からないので、考えようがないとも。あーもうどゆこと!? 謎ふりまくりんぐじゃないですかやだ―!

一応の総評

 今回は新連載はなく、終了アナウンスもなく、の、言ってしまえば凪のような号でありました。ゲストは新しいの二つと先号から引き続きが二つで、それほど泡立たされる事もない配分でありますが、某作品とかというか言っちゃいますが『リリィ』とかがちゃんと連載してたら入らない部分でもあるのかなあ、とも。いないのが常態になってきた感が強いですし、でないからこそゲスト入る余地があるという見方も出来……。
 アニメ化!の方、つまり『幸腹グラフィティ』の情報はまだ小出し感が強いですが、今号に載っているメインビジュアルでの三人娘は意外といい線しているというか、原作の風味を捨てず、しかしアニメの香りも出す、というのがしっかり出来ているように見受けられ、大変安心しております。なんせシャフトだからねえ。どうやってくるか未明ですからねえ。でも、味をしっかり出してくれそうではあるので、期待したい所です。という、漫画の方の話が特にないくらい凪だったのが、今号であるかと。波乱がないと逆に不安になるんですが、これはまあ、一種の病気ですね。