感想 王嶋環 『夢からさめても』2巻

 大体の内容「予知夢の恋路は進んでいる、のか?」。予知夢を見れる男、星さんの、地味でお堅い先輩だけど色々好物件な筒井さんとの恋路はどうなるこうなる。それが『夢からさめても』2巻なのです。
 さておき。
 1巻時(感想)から状況は進展はしています。そのもっともたるのは、星さんが予知夢成就の為とはいえ、仕事にまい進し始めたことです。それによって、筒井さんからも見直され、そして前からわだかまっていた筒井さんの星さんへの気持ちが徐々にあらわになって、ということで、あれ、ちゃんとくっつくの? という雰囲気に。予知夢の段階でくっつくことは確定しているんですが、それがちゃんといかないのがこの漫画の良い点なのは、1巻感想でも書いたことですが、それによってこの漫画の感情の起伏のアップダウン(重複表現)が激しくなっており、形式的には両想いに三角関係の糸目が分かり易いのに複雑系として立ち上がっております。
 今回は、前から疑問を持たれていた伊藤さんに、ついに予知夢の話が伝わったのも大きな点。それで、色々と納得する辺り、いかに平常の星さんが今まであれだったかと言えましょう。予知夢の通りに、で張り切ったり落ち込んだりだったもんなあ。で、そこが知られて、ついでに自分にも気持ちが無いというのが分かってというので伊藤さん……。と思ったら予知夢で市議に、という星さんの夢がインサートされてお茶噴きました。その後、色々と有能であると言うのが見せつけられて、成程な―、ではありましたが。そこであっさり市議に、って口走っちゃう辺りが星さんらしいです。色々迂闊なんだよなあ。
 さておき。
 星さんがしっかり仕事してるのもポイントですが、夢を見た後の処理の手管がレベルアップしたのもポイントであります。今まで元々夢というあいまいでしかも日時指定全くないという使い勝手クソタレ悪い物に対して、なんとか織り込んで行こうとする様は中々の面白さ。筒井さんがあのセリフを言う服を着ている! 他の服に! とした後で、やっぱり元の服に! てのは完全に泥縄でしたが、その後は結構上手く立ち回っていて、おお、そういう展開もありか、とか思ったり。
 そういえばですが、星さんって何時から予知夢見れるようになったんだろう。この泥縄感の強さでは、案外最近なのでは、と思ったら、星さんの妹さんも予知夢見れるように、というのでわりと家系が関連するのと、思春期というか第二性徴期辺りがポイントなのかしら、とか。と言うことはそれだけの蓄積があってもあの泥縄感だったのか、星さん。学習能力ねー!
 さておき。
 この巻最後の話で、わりと重要な事が明らかになります。というのは、ラブラブの恋人生活は夢見るのに、その後は全く、つまり結婚期の夢を見ないと星さんが気が付いたのです。確かに、筒井さんと付き合っていけば、結婚は当然の展開の一つ。だというのに今までそれを、見ていない? というので、なかなかでかいボムがぶっこまれましたよ。これがやはり別れるのか、まだ見てないだけなのか。そこら辺が分かるようになるまで、この漫画見逃せないですな。
 最後に。表紙のパイスラッシュありがとやーした!