感想 津留崎優 『箱入りドロップス』4巻

箱入りドロップス (4) (まんがタイムKRコミックス)

箱入りドロップス (4) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容「陽一と雫さん、新たなステージに!」。今回の巻は、雫さんと陽一に、ある試練が待ち受けています。それは鈴音さんの告白! 一度告白まがいをしておいてのもう一段階の告白となり、それによって陽一と雫さんの、二人の仲に変化が起きます。その変化こそが今回の『箱入りドロップス』4巻の肝なのです。
 とはいえ、基本的に優しい雰囲気なのはこの巻も変わらずでありまして、美容院に行こう回の美容院あるあると雫さんのアホ毛の力強さとか、皆のテンションが高めな遊園地行く回とか、恒例のクリスマスの回とか、雪が降った日の雫さんのテンションとかは、大変ふんわりとしております。このふんわりとした触感、手触りがこの漫画の持ち味であります。特に先に上げたクリスマス回はこの漫画のふんわりとしたギャグ回としてきっちりと立ちあがっております。雫さんのお姉さんがサンタの役を陽一に与える時点で既に問題があるのに、寝なかったらの為に睡眠薬を処方する雫さんのお姉さんマジ何考えてるんだあんた。これで陽一がいい奴じゃなかったら、それ悪用されてますよ? いや、陽一がいい奴なのが分かっているからの信頼に寄っているのは分かるんですが、それでも魔がさすとかある訳で、それなのに、という点がもう。ちゃんと捨てる陽一はちゃんとしてるわ……。あったらそれだけで後で追及されて酷い目に遭うのも目に見えていますが。この辺りの匙加減が絶妙です。
 さておき。
 今回は雫さんが結構大きな気付きを得て、陽一も結構大きな気付きを得て、というので大変濃い巻でもあります。雫さんはまだ好きがLAKEめいている部分がまだあるものの、陽一にご飯食べてもらって嬉しかった、というので料理系に気持ちが向いたり、鈴音さんが陽一のことが好き、と知らされ、それでももやもやしてる所で陽一の笑顔(!)を見て、自分の心が揺れていることに気づいて、嫌な子だ……。ってなったりとか。これで恋というのを知るのか、雫さん。
 陽一の気付きも、雫さんといると楽しいし、嬉しい、というもの。自分の気持ちが、雫さんに向いていると今回とうとう気づいちゃいましたよ、陽一。今までもそういう場面ありましたが、それが確定的に明らかになった訳ですよ。でも、それが鈴音さんの告白の前で、というのがなんともいえないものがあります。鈴音さんはそれで諦めて去る、でその話が終わるかと思ったら、この巻のカバー下でその後の鈴音さんの顛末が明らかにされて、ああー! って感じに。こういう部分も当然ある、というのをきっちり提示された格好で、そうだよなあ、破れる人もいるんだよなあ。というのを思い知りました。本編ではそういうの描けない訳でもないんだろうけど、尺として厳しかったんだろうなあ、とか。この巻のカバー下でやるのはそう言う意味ではピッタリのタイミングだったんだなあ。
 さておき。
 今回は他の三人も色々と。相ノ木と萌さんはクリスマス回で二人でデートしてたりするんですが、ツイッターめいたので出る報告が大変微笑ましい(婉曲表現)で、付き合うとは……、悲しみとは……。って世紀末覇者顔になるのも致し方ないものがありました。なんのかんのでいいお付き合い出来てるよなあ、相ノ木と萌さん。萌さんが相ノ木が絡むと若干押し出しが弱いとことか、いいですね? バレンタインのチョコ作る回での今度はいいのが作りたい。というのとかもいいですね? まあ、そこでは卵黄と卵白分けるだけでゲシュタルト崩壊してたんですけども。こういうのもいいギャグ回です。
 それと、ジュンジュン。前々から先生が好き、というのが読者には周知でしたが、今回の巻でチョコを渡せるまで行っていたり。これは大きな一歩だなー。と。とはいえ道は難しいだろうが、どうするんだろうジュンジュン。相ノ木の入れ知恵で道はある! ってなってたけど、でも難しいって思います。チョコ渡せたのを素直に喜べないジュンジュンだからなあ。ある意味、今後の見所の一つであります。こういう部分も忽せにしないのが、この漫画の良さだなー、と素直に思って、項を閉じたいと思います。