感想 三家本礼 『血まみれスケバンチェーンソー』10巻


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 大体の内容「ネロ編、完! だが、戦いは続く……」。ということで、とうとうネロに引導を渡す巻となった10巻ですが、その過程はえ? え? というくらいの進行速度。そして、しれっと続いて新たな章へと突入するのが、『血まみれスケバンチェーンソー』、二ケタ突入の10巻なのです。
 と言う訳で新章突入ですよ。ネロ編第二章も新章突入ですよ、って言った気がするんですが、今回また同じことにならないだろうなとは、やはり思ってしまいますが、流石に三回もそのオチは流石に三家本先生でも流石にないと思います。なので純粋に新章を楽しめばいいと思いますが、しかし、今回の巻でボス格登場までやっておりますして、この漫画の今までの例を鑑みるに、積み上げた物がでかい程崩される時はあっという間なので、とりあえず遠隔ガトリング腕のやつは既に死相が見えている感があります。手の内を読者に見せた奴は寿命がマッハですからね、この漫画。あ!? ネタ出した奴の相手なんてちんたらやってられねえんだよ! クソして寝ろ! って感じですよ。
 それはさておき、新章であるプリズン編はかなり大胆な絵図がひかれています。それもプリズンゆえ当然ですが、ギー子が得物であるチェーンソーを持てない、というチェーンソー要素ががっつり消された! 事案が勃発しているのです。ついでに爆谷も捕まっており、武装というか弾薬は無しになっております。その上でギ―子達がどう戦っていくのか、というのが焦点になる訳ですが、初戦はブラックジャックと看守の持ってきた火炎放射器で辛くも、でしたが、次なる戦い、囚人VSというサバイバルは本当に武器はないし、首魁は悪辣だし、他の囚人は逃げきれば自由がギー子達に与えられるなんて事実を知って是が非でも食い止めようと思うしで、状況は最悪。このままではくびり殺される可能性はかなり高い状況で、果たしてギー子と爆谷は生き残れるのか!? というので次の巻へとなだれ込む形です。というか、チェーンソー要素どうするんだよ! このままだと血まみれスケバンだけじゃねえか! チェーンソー要素はよ!
 さておき。
 このギー子にとってのクソタレ展開へ向かう形は、しかし高い説得力、蓋然性があります。ネロの残した改造死体が世間を騒がしていて、それがどんどんと捕獲され、刑務所に送られている、と言う中で、改造死体狩りが横行し、しかしそれは実際の所正義の道ではあるんだけど、でもドリエとか爆谷みたいな人に危害を加えないタイプの元人間もいる。でも、その正義は全く止まらない。そういう部分があっての、でもだからと言ってギ―子のように爆谷を助ける為に人を殺していいのか、というのは中々シビアな話であります。先に危害を加えないような改造死体を襲ったりする人達、それで懸賞金を貰う人達の様を見せられてのギー子の所業は、だから非常に曰く言い難い難問を投げかけているようにも感じました。とはいえ、やはりギ―子の行動をみてなにかスカッとくるものがあったのは確かなので、この問題は簡単に答えていい物でもないのかもしれません。そういう感想を持ったりするのが、『血まみれスケバンチェーンソー』10巻なのです。