感想 サンカクヘッド 『ひもうと! うまるちゃんS』1巻


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ひもうと!うまるちゃんS 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

 大体の内容「大胆! 作者本人によるスピンオフ!」。ということで、サンカクヘッドせんせ御自らによってスピンオフされたのが、この『ひもうと! うまるちゃんS』なのです。
 本編では、以前よりサンカクヘッドせんせ味というのがやや薄めに設定されている状態ではないかと考えていたワタクシにとって、この漫画はその証左になるものです。スピンオフが出来るくらいにいつもとノリが違うこのノリこそ、サンカクヘッド味! というくらいに変な漫画となっています。まず皆等身がちんまくてチャーミングですヨネ(本国流法)。そして、行われるのが本編ではできない、つまりスピンオフなら出来る。スピンオフだから出来る! という小ネタな内容となっております。ちょっと時空間変でも、はっはっは、スピンオフだからね! という顔つきでなされるそれは、確かなサンカクヘッドせんせの力であります。これでもまだ全壊時に比べると半分程度ではないか、とすら今まで憑いてきた読者からすると感じられるのですが、それでも『干物妹! うまるちゃん』からするとかなりの駄壊力を誇っているようにも感じます。この辺のノリは最初に載っている新番組予告めいたところで大体分かるので、無理な人はその辺でジャッジされていると思いますが、それでも回が進むにつれてサンカクヘッドせんせの俺、こういうのもあるんすよ! という嬉々とした顔が目に浮かぶように話が非現実的になっていきます。でも大丈夫。スピンオフだよ! というスピンオフならなんでもしていいのか、という問いかけすらフラッと湧くスピンオフっぷり。よくやるなあ、と思うものの、この漫画の底に流れるちびキャラの可愛らしさと原作と近いのか遠いのかの人間関係性が合わさって最強に見えます。キリエちゃんはうまるちゃんのことを師匠って言うけど、海老名ちゃんと橘シルフィンフォードさんはうまるちゃんうまるちゃんと理解しているので、この辺のどうなっているのか分からないごちゃごちゃさと、それを物ともしない作風、これこそサンカクヘッド! という賞賛はまかり間違っている感もありますが、でもやっぱりこういう剛腕が出ると一ファンとしては嬉しい所。この味わいはもっと洗練されるとまた違う味わいになりそうですな! でも、女の子が可愛いのは無くさないでください。せっかく得らえた形質ですし! というか海老名ちゃんがやたら可愛いでしたよ? こういう女の子は幻想的だからこそ、素晴らしいのですよ? だから、この心は無くさないで? ね? ね?
 さておき。
 この巻終盤に、他の漫画家さんのスピンオフがありますが、やはり『パープル式部』フォビドン澁川先生の『干物妹! うまるちゃん大好きおじさん』が一歩も二歩も上手を取っています。おっさんがうまるちゃんの真似をするだけ、というのにこのずっこんどっこん破壊力。ぶっちゃけ単に気持ちが悪いといって終わりにしてもいいんですが、でも溢れ出るこの実際やったのかあんた……感。歳取ると炭酸に弱くなるよなー、と自分もそうなりつつあるので余計に感情移入出来て困ります。大谷日堂顔で「こんなもので こんなもので〜〜」って言いたくもなりますが、でもたぶんこの巻が一番刺さるのはこれではないか、という思いがあるのです。こんなものだからこそのパワ。これがあるだけで、『ひもうと! うまるちゃんS』は成功だったのでは。という妄言を垂れ流しながら項を閉じたいと思います。