感想 鳥取砂丘 『G専ラフスケッチ 1』

 大体の内容。「ゲーム専門学校で、私達は!」。という後に続くのが大上段な内容では当然無いのですが、私達は、楽しくやってます! なら言えるなあ、という雰囲気に満ち満ちた漫画、それが『G専ラフスケッチ』なのです!
 基本の所を順を追って説明しましょう。と言ってもそれ程難解な内容ではなく、当世代、10年代の漫画らしい、ゲーム専門学校(イラスト寄り)で日々を過ごすミヤホン(メインパーソナリティ。正しくは宮本)ら、女の子達のお話です。ゲーム業界、その厳しさはまだ全然出てこないけれど、楽しさは存分にある、というのも、10年代の漫画らしい立ち振る舞いでありまして、楽しいっていいだろう? という面構えすらしていると言える漫画となっております。
 漫画はキャラだよ、兄貴! とは私の中のとよ田みのるせんせの言葉=捏造ですが、基本的に何も無いがある系漫画とはキャラ漫画として立ち上がっているわけで、そこの所、キャラは如何ばかりか、という疑問には、いい感じにふわっと立っていますよ? とお答えできるかと思います。
 基本ゲームっ娘でちょっとゆるい感じにおばかな宮本さん。
 クール系でちょっと痛い系だけど面倒見はやたらいいお姉さん肌の小島さん。
 ゲームより絵がやりたいんだよ!派なのでゲームにちょっと疎い堀井さん。
 やや貧弱一般人だけどしっかり者で皮肉屋な所のある遠藤さん。
 ふわっとした見た目だけどガチPCゲーマーな湯川さん。
 と、メインパーソナリティは鳥取砂丘氏の持ち味である可愛らしい絵柄を、ちりっとあぶる程度でにじむキャラ性の油がコーティングして食欲をそそります。特に遠藤さんと湯川さんは印象的な登場なので、よりいい油が出て美味し美味し。いやまあ、湯川さんの登場は本当に唐突過ぎる感はありますが。でも、ゲーマーの間にそんな事はチャメシ・インシデントなんだよ! という力強いメッセージ性を勝手に感じます。ミヤホンとコジーが仲良くなったのも、古いゲームのグッズが元だったことを鑑みれば、やはりゲーマーの持つ人との壁の超越力は凄いものであるなあ、とも思ってしまうのです。戯言だけどね。←OLDな言葉
 さておき。
 そんなにじみ出る味わいのキャラが生活、勉強するだけの漫画ですが、その中でも色々起伏はありまして、例えばこの巻だと動物園にスケッチに行く回などは、遠藤タンが非常にスポットを浴びる回なわけですが、そこは五人が綺麗に回るがゆえに出来うるスポットの当たり方で、遠藤さん、動物駄目? とかは湯川さんでないと中々話したり出来なかったかなあ、などと理解出来る上手いキャラの回し方だったのではないかと思います。ミヤホンでは当たりが強いし、堀井さんやコジーでは中々踏み込めなかったかもしれない、と考えられるんですよね。その辺、本当に上手いなあ、と。
 とはいえ、個人的な趣味で言うとやはり小島さんが黒ロンで面倒見も良くて素晴らしいけど、眼鏡が無いでしょー! と思っていたらこの巻の最後の方で眼鏡を披露してくれてうほー! と私のテンションは有頂天になりました。のんちゃんの眼鏡、イイ! なんで家だけなんだよ普段もしてよしてよー! と気持ち悪い言葉がついつい出てしまいます。それ程に僕の眼鏡っ子欲は高まっていたのです。それ位、いいキャラ漫画である、とも言えましょうか。
 さておき。
 鳥取砂丘氏と聞いて、『境界線上のリンボ』がすぐさま出てくるのがきららオタの基礎教養の産物ですが、それと比べると、絵柄のまるっと感、ふんわり感と言った方がいいでしょうか、それが上昇しているなあ、と感じました。『リンボ』もまるっと感はあったんですが、あれに比べるともっとゆるい、ぬるい、と感じたりするのです。自分の感受性、感じ方が変わったという説も有力ですが、それよりは、この漫画が現実をベースにしている辺りが理由の一端ではなかろうか、とも思うのが楽しいかと思います。『リンボ』はファンタジーな内容だったので、まるっとしていても最低限のラインではしゅっとまとまりのある絵柄で、『G専』は現実ベースだから、むしろまるっとまるっとして、ふんわりとした見心地を意識したのではないか、とか考えてみると、なんとなく面白い。そんな風に思うのもありかもなあ、とか思うのでした。
 次の巻が何時出るか不透明ではありますが、そしてそこで現実的な話に移行する可能性もありますが、でも次も期待して待ちたいです。それだけ、ぐっと来ました、と記帳して、この項を閉じたいと思います。