感想 シバユウスケ 『ペコロス』2巻

 大体の内容。「戦慄の桃ちゃん襲来!」それ以外の面は、夏真っ盛りから秋序盤に向かって移っていく日々の話であります。それをときに可愛く、ときにエロく、ときに真剣に、ときにだらだら、そんな毎日。それが『ペコロス』2巻なのです!
 基本的に少年少女がわちゃわちゃする漫画、それも女子率高め! と言うのもそうですがまず第一に女性がみんなチャーミングですヨネ。というのがこの漫画の得意の点。そんな可愛い女の子がエロかったりするのは、大体の男の人がオッケーイ!なインシデントであるかと思います。でも、露骨なエロは、逆に被写体の魅力を減じる部分があるのも理の当然。なんのてらいもなくエロいのは、歳を取ると逆に大金時殿はぴくりともないものです。その点、この漫画のエロさはあくまで微エロ。それも可愛い主体であり、その軸線を外れる事はありません。なので安心して可愛いあるいは微エロいを堪能出来る仕様となっております。オッケーイ!
 さておき。
 可愛いだけじゃないけどダメかしら? という挑発的な帯の文は内実を表しているのか、というのは可愛いけど暑くてだらだらしてたり、親に送る写真でお金が発生するからって無駄に真剣になったり、女の嫉妬で生臭かったり、実際臭かったりする部分に対して付けられているのなら、間違いじゃないかな? という判定は下せるかと思います。でも素地としてはみんな可愛いが素地であり、ちょっと真剣になり過ぎて思考がストーカーになってたりするのもやっぱり可愛いであるよなあ、と思うのであります。可愛いの先にあるものも色々ありますが、実際の所過度に生臭くないので、やっぱり可愛いで包括出来るかと思います。そういう意味では、可愛い漫画であるなあ、と思ったりも。
 さておき。
 この巻のトピックは大体の内容で書いているようにいとこの桃ちゃん襲来の話。じっくり40ページ程使って描かれた桃ちゃんのお話は、キャラ登場回としては破格の出来栄えでありまして、そこまでして導入する必要性とは? と疑心暗鬼すらすくっと湧いてくる物がありますが、そこは大人な余裕でスルー。桃ちゃんが奔放で可愛いのを感じれば、それで満足するしか、ないじゃないか…。と不満足が初手に一瞬出そうになりましたが、話が進むに連れて、一途でテクニシャンな桃ちゃんが可愛いやったー! と脳がいい感じに許容し始めたり。眼鏡っ子が眼鏡を取るな! というのは電撃PSの投稿4コマにあった名台詞であり金言ですが、今回の桃ちゃんも実際眼鏡っ子なのに、過去にメイン男子フッキーに眼鏡の事を言われて眼鏡を出来るだけつけないようになっており、眼鏡を掛けろ! 掛けるんだ! と思ってしまうところなんですが、それが最後にフッキーに眼鏡でもいいよ、って言われて眼鏡っ子に返り咲くという展開が待っており、それが大変美しく、眼鏡っ子に対する所作が素晴らしいとしか言い様が無い辺りが、今回の桃ちゃん回の素晴らしさを濃厚にしているように思います。
 さておき。
 そんな事を言っておきながら、この巻で一番良かったのは姉ズの友達、町子さん。スタイルがいい、と褒められて「そうだが…」と返すクールビューティーめいた自信! と思ったらすぐにその方向が崩れて半べそかくという展開が素晴らし過ぎます。その後はクールになってましたけど、その崩れた辺りが可愛らしくて…。お祭りのミスコンでの「私は美人か?」発言とか、その場でそういう事言っちゃうの? という部分も素晴らしい。クールクールクールクール! そんな叫びすら上げたくなりました。これであんまり出番が無いとか、とか!
 好きな回は桃ちゃん襲来回ですが、次点は夏祭り回。上記町子さんの発言もいいですが、色んなキャラが乱れ咲いて、面白い回であったと思います。中でもオチの無常感が特に。みんなが楽しく花火見てるのに…、というね。
 とかなんとか。