『まんがタイムきららミラク』2016年7月号 感想

今号の巻頭漫画感想

はりかも『うらら迷路帖

 臣さんの順応! という臣さんの家庭環境とかがきっちり語られた回でありました。まだぽっと出感があるからこそ、ここできっちり掘り下げてくる辺りがはりかもせんせのテクニックっぷりを感じさせます。それにしても、苦学生なとこがあったんだなあ、臣さん。ぱっと見クレーバーだったのが、ここにきて素直クールという方向性、ツンケンじゃなく単に素がクールというのと、それに比さない出自の大変さが合わさって、一気に親しみやすくなっておりますよ。高難度の夢占いを、寝ながらできるなら起きている時と合わせて効率的じゃない、ってというのでやってるという辺りは非凡でありますが、そこを鼻にかけないのがいいです。後は、既存の四人娘と水が合うかどうか、ですが、意外と行けそうだし、大丈夫でしょうか。5人いると1人印象が、という魔の手がありますけどね!

個別チェック三連撃

川井マコト幸腹グラフィティ

 またぞろリョウさんたちの関係がぎくしゃくし始めているのを感じた担任の先生が、ユキちゃん先生に救援を、という回。春先にもやってたじゃない! って吃驚するユキちゃん先生ですが、ではどう声を掛けたらいいのか。というのを悩んでアキちゃんさんと相談したりした、その結論は……。
 着実にエンドマークへ向けて進んでいる雰囲気なこの漫画ですが、今回のユキちゃん先生のリョウさん達との関わり方というのが、この漫画が積み重ねてきたものが、それもアキちゃんさんとの関係改善したりしたがゆえに相談も出来て、というのがあって、大変趣深いものがありました。ちょっとずつ変わってきていたことが、きちんと形として見せられたのが、今回だったかと思います。実際、各人の心情がこちらに分かるがゆえに、ユキちゃん先生の行動に喝采と笑いを持ったりしたわけで、そこに持っていく業前は流石の一言であります。でも、もうちょっとくらいなのかなあ。

そと『ラストピア』

 記憶障害の秘密を解くぞ! ということで動く回。とはいえ、ホテル内を探索するくらいでしたが。しかし、オーナーさんの部屋を発見したのは大きな前進。一人部屋にしてはでかいその部屋と、写真の謎が今回は残りましたが、さてどうなるのやら。後、怒り状態のマノさんが中々迫力のあるお人だな、という印象が。案外暴力的だよなあ、マノさん。この漫画の重要な部分を担っているくさいんだけど、どう担っているかわかんねえからなあ。謎が多いけど、どうなるんだろうか。解決するんだろうか。それとも?

村上メイシ『小学生もゆるくない。』

 くま子の存在感がどんどん薄くなっていく……。居なくても回るんじゃ……。というかあの謎のとんがり帽子は一体……。でもそこがメインじゃねえ感じな漫画になってきているし……。

今号の巻末漫画感想

みやこ『全裸.zip』

 ここ数回は全裸であることをどうにかこじつけようというか、作中世界観を歪ませてでも全裸を意味づけようとしていた、『全裸.zip』でしたが、今回はそういう所作を全部かなぐり捨てて、全裸であることを全く引け目とせず、全裸をギリギリまで描くという方向性に吹っ切れておりました。姿を捉えられてなければ、全裸で問題ないのよ! という発想とかもうちょっとこねくり回せそうなのに一本こっきりする様は一周回って流石の業前。今回木内さんがエロく感じるのは、前回で女性と断された木内さんであるからこそでもあるのですが、それでも今までの積み重ね? そんなことより全裸ネタだ! ってくらいアグレッシブに全裸ネタするその様は、むしろ尊敬の念が浮かぶのでありました。

一応の総評

 今回特に思ったのは、タチ『桜Trick』と川井マコト幸腹グラフィティ』の終わりに向かっている雰囲気。徐々に、でも確実にこの二つの漫画の終わりは近づいているなあ、という印象を持ってしまいます。特に『桜Trick』は創刊当初からいる最古参な訳で、それが終わるってことはまた一つの時代が終わるんだということであります。でも、今のきららミラクもまた新たな胎動を感じさせますし、新規の漫画もきっちり育っているので、安心出来るのが救いです。